ヤン富田
[末尾]


Music For Living Sound (1998/05/21)

Cool Sounds From Real Life
実験的というよりも「実験そのもの」というべき電子音楽作品で、発売当時、かなりの論議が交わされたと記憶している。筆者も当初から気になりながら、3CD+1CD-ROMとの分量ゆえに5年間も「そのまま」になっていた。今回めでたく入手となったが、まさに当サイトの性格に合った作品であり、敬意を持って紹介させていただきたいと思う。

FOR LIFE FLCF-3715 - total time : 142.25


disc one : 44.21
  1. Sensory Sound Systems in A.S.L. 4.04
  2. Solar and Planetary Influence Sound 5.04
  3. Murmur of Living Experience 4.35
  4. The Living Sound 3.05
  5. Refreshing Sound 2.30
  6. Laughter Robot in Silicon Valley 6.40
  7. Talk to Me, Talk to Me [for Biological and Robotical Research] 12.11
  8. Take a Walk 6.12
disc two : 50.55
  1. Switched On / Off RCA Mark II Synthesizer 0.50
  2. Vinyl Beat of Two Turntables With Cybernetics and Bio-Feedback 10.49
  3. Flash to the Bionic Beat and an Analysis of His Brainwave by Doctor 5.41
  4. Prepared Record #9 for Enevitable Chance 6.38
  5. Introduction of Aeolian Harp 1.00
  6. Magic Music of the Spheres 22.57
  7. Summer Song 3.00
disc three : 47.09
  1. Airport by the Lab. 1.48
  2. Air Vibes from the Airport 2.30
  3. Animal / Human Preservation Encompasses Tours, Biological Research 13.15
  4. Music Life 4.29
  5. Introduction of Bionic Music 1.08
  6. My Brain, My Muscle and My Heart for Bionic Music 14.31
  7. In and Out / Yin and Yang 5.11
  8. Living by the Airport 4.17

温度、湿度、照度、あるいは脳波、心拍音など各センサから出力される信号を音声に変換し、演奏者の意志ではコントロールできない音楽を実演している。 サウンドは、oval, Conrad Schnitzler のプライベート作, 1A Düsseldorf, Magical Power Mako / Hapmoniym の一部などにも通じるもの。変態度、脱音楽度はピカイチである。 最近でこそ、このようなノイズ音楽は一般的になったが、当時としては、あまりにぶっ飛んだものであったに違いない。 ゆえに当時、紹介記事(タワレコの冊子など)を読めば読むほど得体の知れないものに思えたのだ。 だからリアルタイムで体験しなかったことを後悔する次第。 実は当時、ショップの試聴コーナーで聴いたのだが「何これ?」というのが素直な感想。 音楽的なものを期待していたのが間違いだったが、試聴機の片チャンネルが死んでいて、魅力が半減したのも不運だったと思う。

#1-1は遠くに聞こえる空港のノイズと街のざわめき、電子ノイズが絡み合う。 #1-2も基本的には同じだが、唐突に刺激的な電子音が飛び出して、アンビエントな楽しみを阻害される。まるで脳みその中を引っ掻き回される感じ。 #1-3はボコーダを通したナレーションがガリガリと鳴りながら電子音が絡み、いびきまで聞こえてくる始末。

#1-4では思いっきりひっくり返る。ミュージカルのような、至極マトモな歌もの(とても良い曲)。 ノイズの応酬が続いた後の、オアシスのようなトラック。 Music For Living Sound のテーマのような位置づけだが、オリジナルではないみたい。

#1-5では洗濯機が回っている?クレジットによればエアコン。 #1-6は短いナレーションのあと、ステージが開幕し、 ちょうどELPの「展覧会の絵」の一節みたいな、リボンコントローラでシンセをキュンキュン唸らせるようなパフォーマンスが始まる。そして、ブヒッ!ブヒッ!、ブバッ!ブバッ!とノイズが鳴って笑い声。これは放屁大会??タイトルによれば「笑うロボット」。んんーー??

#1-7では女の子による Talk To Me とのフレーズを繰り返しながら、電子ノイズがクニョクニョ絡んで、少しづつ壊れていく曲。そしてラスト1/3にて復活して本来の歌が始まる。美しいブルース・ナンバーだが、これもオリジナルではないみたい。ボーカル・コーラスは、Caroline Novac, Suzi kim, Jackie &amo; Kiyoshi Hiyama が、#1-4 共通でクレジットされている。。 #1-8は、例の如くパーカッシブな電子ノイズにパルス音がブチブチ掛け合いながら、ぴーがりがり鳴っている。遠くで道路の騒音が聞こえてくる、と思ったらラストは叙情的なストリングス隊(怪しげな演説付き)だったり、よく分からんです(もちろん賞賛)。

#2-1は丸々演説。パチンという音で締め。#2-2と#2-3は、The Art Of Noise / Beat Box に通じるようなコラージュ・ヒップホップ。音を歪ませたりビリつかせたりと、まさしくローファイ。もちろん変態電子ノイズもタップリ聴けます。ターンテーブルは、グランドマスター・フラッシュ(ふーん。)

#2-4!やってくれました(笑)。ピアノソロ、オーケストラ、ジャズなどのトラックを同時再生しながら、一定周期でセレクタを切り替えていく曲。セレクタはボツ!ボツ!とノイズを出してリズムを刻み、細切れの楽隊が脈絡なく繋がって、新たな作品を作っていくのだ。一つだけ盤起こしのトラックあり、針ノイズがジャリジャリ鳴っている。

#2-5は「エオリアンハープ」なる楽器を使ってるそうで、紹介ナレーションをバックに、ビィーーンとノイズが鳴ってます。 この楽器は風を使って(自然の力で)演奏するもの。Namlook / Seasons Greetings =Autumn= と重複ネタかも。 #2-6は、そのロングバージョン。やはりビィーーンとノイズが鳴り、生録の環境音(虫の鳴き声とか、風のざわめきとか)が聞こえる。たまに、冥想的雰囲気を打ち破るかのような大ノイズがボコッと入ってくる。#2-7は生ピアノで始まる、アコースティックなサロン風ナンバー(とても良い曲)。

#3-1は、ぴーがりがりぎゃぴーノイズをバックに叙情的なピアノが流れる。ovalを強く連想してしまう。 そのままざわめきにかき消され、サウンドコラージュ的な#3-2へと続く。タイトルどおり空港ロビーで録音したものらしい。 #3-3は笛がピーピー鳴って、演説。ざわめくノイズのコラージュでは、日本語のナレーションも切れ切れ聞こえる。 ガサゴソ何かやったり笑い声が聞こえたり、それこそ「脳みそおかしい」んちゃう? ノイズ群はいつのまにか熱帯ジャングルへトリップ。 水の音、動物や鳥の鳴き声、太鼓という取り合わせ、どこかで聴いたことがあるなぁ(笑)。 で、再び現実(ざわめき)に戻ってくる。ブヒブヒ・ロボットも再登場。ジェームスブラウンがどうのこうのと喋って終了。

#3-4も凄い。断片的なサウンドサンプルをリズミカルにつないで構築した、空ろながら躍動的なナンバー。 ovalあたりに通じる手法ながら、近未来的なダンストラックに仕上がっている。 #5はピアノと脈打つような電子ノイズ。人体からの電気信号を音楽信号に変換したものだそうだ。 #6はそのロングバージョン。脈打つ電子ノイズとシーケンスの絡みあいが圧巻。バックで聞こえる息遣いや喘ぎ声が「。。。。。」

#3-7は至極マトモなジャズ・スタンダード風の素敵な曲(オリジナル)。もちろんこれで終わりではなく、#8ではサウンドコラージュ的でアンビエントなノイズで締める。この3枚目は、Brian Eno / Music for Airports とは関連ないと捉えるべき。

4枚目はCD-ROM。未検証ながらMacOS8/Windows95対応ということもあり、賞味期限切れかも。ということで割愛。

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