Tangerine Dream
Zeit (1972)

Castle ESM CD 347 - total time 74:23


  1. Birth Of Liquid Plejades 19:54
  2. Nebulous Dawn 17:56
  3. Origin Of Supernatural Probabilities 19:34
  4. Zeit 16:58

Edgar Froese / Chris Franke / Peter Baumann
Guest)
Florian Fricke : Moog Synthesizer
Steve Schroyder : Organ
The Cologne Cello Quartett (C.Vallbracht, J.von Grumbcow, H.J. Bruene, J.Luecke)

ピーター・バウマンをメンバーに迎え、1970年代の黄金期がスタートする。 一方で前作のメンバー、スティーブ・シュローダーはゲスト扱いになっている。 また、ゲスト参加のフローリアン・フリッケは、ポポル・ヴーPopol Vuhの中心人物だ。 セロのカルテットについては、情報検索を試みたが、このアルバムの情報しかヒットしなかった。

本作は当時としては、実験的を通り越して、冒険的でさえもあった。 アナログ盤では2枚組みの大作で、1面1曲の全4曲。 全編、脱音楽的でダークなアンビエント・サウンドに徹し、ビートも一切入らない。 その大半において、メロディらしいものも無ければ、展開もない。 闇に沈み込むような音群が、グォーーッと渦巻いているようだ。 平たくいえば、古典的なお化け屋敷の「ひゅーどろどろ」みたいな音が、あちこちで現れる。 高音域を抑えた、浮遊感ある音作りが特色で、実験的ながら刺激的なサウンドを避けているのも、注目できる。 シンセサイザなどエレクトロニクスを本格導入した作品であるが、単にシンセを使えば出せる音、というわけではなさそうだ。 どんな方法で音作りしてるのだろう?と考えながら聴くのも、楽しいものである。 前作までは耳タコ状態だった、A Saucerful of Secrets風味は、完全に一掃された。 かつての日本盤(アナログ)は「我は時の深淵より叫びぬ」みたいな、面白すぎるタイトルが付いていたと記憶している。

#1 Birth Of Liquid Plejades(澄んだプレアデスの誕生)
3つのパートから成る作品で、本作では最も音楽らしい(楽器演奏を感じられる)トラックである。 導入部は、セロ・カルテットによる、ストリングスの合奏。 メロディを排した単音のドローンが、重なり合いながら流れていく。 セロの演奏は、1stアルバム(Erectronic Meditation)のようにコメディタッチではなく、内省的で厳かである。 その音群は、やがてオルガンに上書きされるように、退場していく。 そして、シンセサイザによる、ゆったりとしたソロ。 独特のフレーズは、フリッケが弾いているのだろう。 このアルバムでは、最もメロディらしい箇所でもある。 そして、終盤に向かって、オルガン・ドローンによる(一応の)クライマックスとなる。

#2 Nebulous Dawn(ぼんやりとした/星雲状の夜明け)
序盤こそ、重いベースのリフレインと、ビブラフォンの音が聞こえるが、やがて正体不明の効果音にかき消される。 シンセサイザを使っていることは確かだが、純粋なシンセ・サウンドというよりも、エフェクタで加工しまくったノイズのようだ。 もはやメロディらしいものは無く、脈打つような重低音が響き渡る。 後半はブラックホールに引きずり込まれるかのような、うねりを持ったサウンドになる。 「夜明け」というタイトルながら、全く光が見えてこないまま終了となる。

#3 Origin Of Supernatural Probabilities(超自然的な「ありそうな事柄」の起源)
思いきり音を曇らせたギター?のイントロに続いて、エレクトリック・ギターが悲しげなフレーズを奏でる。 このフレーズは、後のStratosfear(Stratosfear収録)のエンディングに、どことなく似ている。 そして弦をこすり合わせるようなドローンへと移る。 更に時間が経過すると、ボッコンボッコンと脈打つようなエレクトリック・ビートが聞こえてくる。 これは聞いた話によると、微妙に周波数の異なる音源をミックスし、うなりを発生させたもので、「シンセサイザ・リズム」と呼ぶらしい。 ドローンと効果音を織り交ぜて、なんとも言えないほど心地よい音空間(これを快楽と感じるかは、リスナー次第だが)。 終盤まで冥想的なサウンドと共に流れて行く。 この音は、この作品でしか聴けないと言っても過言ではない。 終盤は最終章へ続くドローンと効果音が聞こえてくるが、 イントロのフレーズで一旦終了。

#4 Zeit(時/潮流)
全4曲においても、特に展開の乏しいトラックで、暗黒のドローンとシンセサイザの効果音が現れるのみ。 もう、行き着くところまで行き着いた、異次元を漂流するようなサウンドだ。とても気持ち良いです。

参考までに、このアルバムは、初期のオフィシャルサイト(www.tangerinedream.de)において、不遇に扱われていた。
The most uncommercial Rock/Pop/Experimental album recorded in the 70s. Jerome's most hated Tangerine Dream record.
たしかにキツい作品であるが、近年のテクノや電子音楽シーンに与えた影響は計り知れないと思うのだが。 しかも1曲目は、Birth Of Liquid Placesと誤記されていた。 さすがに現サイト(www.tangerinedream-music.com/disco_pink.php)では直ってるだろうと思って覗いてみると、そのまんまになっていた。



A) 裏表紙
B) 見開き

表紙の日食と、裏表紙の月面(図A)に象徴される、いわゆる「宇宙サウンド」。 見開きは(図B)鍾乳洞を思わせるデザインで、どちらも瞑想的なイメージである。 図Bの「地平線」上に立っている白い人物(画像では点にしか見えない)は、フローゼの息子ジェローム(Jerome Froese)である。 それでは、以降に古いCDのアートワークを載せてみる。



C) Jive Electro版
D) Castle版



E) Castle版
F) Castle版

図C) はJive Electro版。青色のジャケットだった。 これはジャケットが酷いだけでなく、トラック4の最後が切れていた。 なので、Relativity版を見つけたときに買い直した。 こちらは完全収録ながら、Jive Electro版よりも音質が悪かったと思う。 どちらもCastle版入手後に手放した。

図D) - 図F) はCastle版。 やはりコントラストが強すぎるし、他にも色々問題あって、やはり"Faithfully Restored Artwork"は詐称といえる。 ちなみに図Eでは白抜き文字をレタッチツールで消している。 もし本アルバムを初めて購入するならば、多少割高でも国内盤紙ジャケットをお薦めする。


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