Tangerine Dream
Phaedra (1974)

Virgin 7243 8 40062 28 - total time 37:48


  1. Phaedra 17:37
  2. Mysterious Semblance At The Strand Of Nightmares 9:57
  3. Movements Of A Visionary 7:58
  4. Sequent C' 2:17

Edgar Froese : Mellotron, Guitar-Bass, VSC3 Synthi, Organ
Chris Franke : Moog Synthesizer, Keybords, VCS3 s.A
Peter Baumann : Organ, E-Piano, VCS3 Synthi, Flute

Virgin契約の第一弾となる作品で、彼らの出世作といわれている。 アナログシーケンサをふんだんに使い、当時としては極めて革新的なサウンドであった。 現在でこそ「1曲丸ごと打ち込み」は当たり前であるが、アナログシーケンサはごく限られた数の音符を演奏できるだけだった。 本作では、シーケンサによる何種類かの繰り返しフレーズを巧みに組み合わせ、独特のグルーヴ感を出している。 リリースから既に四半世紀以上が経過したが、その独創的なサウンドは、現在聴いても色褪せるどころか、十分に衝撃的である。

タイトル「フェードラ」はギリシャ神話に由来し、「ミノスの娘でアリアドネの姉妹」を指す。 物語について検索するなら「ファイドラ」をキーワードにすると良い。 成就しない不倫を苦に自殺という、非業の最期を遂げたとされている。

#1 Phaedra(フェードラ)
不思議でメタリックなドローンから、シーケンスが姿を現す。 シーケンスは脈打つようなシンセベースであり、ダンサブルなグルーヴ感を持っている。 その音程感は掴みにくく、エレピのフレーズも現代音楽を思わせる。 そして、いくつかのフレーズが重なり合い、不安定な音場を構成しながらクライマックスを迎える様子は、スリリングでさえもある。 後半は静に転じて、オルガン・メロトロン・エレピによる、厳かなパートとなる。 特有の音の「曇り具合」が異世界へといざなうようだ。 16:47で一旦終了して、妖しげな効果音が、かすかに流れてくる。 50秒ほど続いた後で、エフェクタが解除され、子供たちの歓声であることが判る。

#2 Mysterious Semblance At The Strand Of Nightmares(悪夢の浜辺における神秘的な風)
波、風の擬音をバックに流れるメロトロン。 ダークな前曲に比べて、柔らかな日差しのような、叙情的な作品だ。 室内楽を思わせるが、生々しくも孫コピーのようなサウンドが、メロトロンらしくて微笑ましい。 エンディングは、シンセの効果音が続いていく。

#3 Movements Of A Visionary(空想家の行動)
「架空の楽章」の邦題で知られる名作中の名作。 当時の技術の粋を結集して作られた、生命感のある電子音や、網の目のように複雑に絡み合うシーケンサ群に、ただただ身を任せるのみです。 渋谷陽一氏のFM番組でも、よくオンエアされました。

#4 Sequent C'(続いて起こるC)
音の曇ったフルート(メロトロン?)によるリフレインが続き、フェイドアウトする(よく聴いてみると、テープが停止する)短編。 バウマン名義の曲。

このレビューで取り上げたCDは、リマスター(SBM: Super Bit Mapping)版。 リマスタリング担当は、Simon Heyworth。 初期版CDでは、低域の歪みが気になったが、SBM版では一挙に解消し、著しく音質向上したといえる。 ただ、SBM版はトラック分けのミスがあり、#1の16:47から2曲目になってしまっている。 また#1の終盤で音揺れが目立つが、マスターに起因するらしく、SBM版でも改善していない。 なので、「修正版CD」を自作して楽しんでいる(トラックリストの演奏時間は、修正版による)。



A) 裏表紙
B) 見開き

本作のオリジナルアートワークは、銀色に輝く、美しいものである。 何が描かれているのかよく判らない、抽象的なデザインになっている。 見開きには、ジェロームの白い顔が、何故か横倒しにコラージュされている(画像では判りにくいが)。



C) Virgin 初期版
D) Virgin 初期版(裏)

Virgin時代のCDも、粗悪なパッケージに苦しめられている。 図C)は初期版の表紙。 非常に低レベルな仕上がり(枠付き、不適切なトリミング、不鮮明な印刷、発色不良など)であり、 失望された方も多いと思う。 図D)は、その裏表紙。 見開きの一部だけが掲載されていた(画像は枠を除去)。 ジェロームの顔を判別できる。 初期版は、Hyperborea(Virgin最終アルバム)まで、一部例外あるものの、同じ造りになっている。



E) definitive edition logo
F) definitive edition package



G) inner (definitive edition)
H) inner (definitive edition)

1994年頃に発売されたリマスター版(SBM版)は、Definitive Edition(決定版、図E)と謳われているが、 ジャケットアートとしては「落第」である。 表紙の仕上がりのみ、及第点。 裏表紙は復刻されたものの、図F)のとおり、トリミングや文字の上書きやバーコードで、見る影もない。 見開きは、全然ダメである。 図G)は、単なるディスコグラフィー(広告)。 図H)は、Remembering The Dreamなる毒にも薬にもならないライナー。 Rubycon以降のSBM版も同じ仕様。 アートワークにこだわるなら、多少値が張っても国内版の紙ジャケットを入手すれば、後悔しないだろう。


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