Tangerine Dream
[末尾]


Optical Race (1988)

かつてのメンバー、ピーター・バウマンと組んでリリースされたアルバム。 ただしバウマン率いるPrivate Musicレーベルからのリリースということで、ビジネス面での提携に留まる。 Private Music はプログレ・ニューエイジ系のレーベルで、エディ・ジョブソン、パトリック・オハーン、ヤニーなどの作品をリリースしている。 タンジェリン・ドリームはこれまで3人編成を基本としたが、フランケ脱退の穴埋めは行われず、2人体制となる。

Private Music 2042-2-P - total time : 53.16


  1. Marakesh 8.17
  2. Atlas Eyes 4.04
  3. Mothers Of Rain 5.13
  4. Twin Soul Tribe 4.28
  5. Optical Race 3.13
  6. Cat Scane 5.35
  7. Sun Gate 4.44
  8. Turning Off The Wheel 6.11
  9. The Midnight Trail 6.54
  10. Ghazal (Love Song) 5.00

Edgar Froese / Paul Haslinger
recorded Apr/May 1988 in Berlin/Vienna

この頃から、短い曲が数多く収録されるスタイルになる。 以前のようなシンセ音の集合体やシーケンスから、「音符」主義に移行したらしい。 しかしレーベルを移行して心機一転、その気合が十分伝わってくる出来栄えで、魅力的な曲が揃っている。

#1は、本作最長のトラック。 ノンビートのイントロからミディアムテンポの主題につながり、段階的にテンポアップしてクライマックスを迎え、 以降はこれまでと逆の展開で終わる。 序盤と終盤で聴こえるシーケンスは往時をしのばせるもので、とても感慨深い。 タイトルはモロッコの地名だが、個人的にはスペイン風テイストに感じられた。 いずれにせよ80年代終盤タンジェリン・ドリームを代表する傑作トラックである。

「アトラス神の目」と題された#2は、Underwater Sunlightを思わせる佳曲。 クラシカルなオーボエと、性急なハープシーコードと、ラテンリズムの変拍子が絡み合う。 #3も#2に似た展開だが、こちらは重厚で落ち着いた仕上がりになっている。

#4は不安定で面白いリフレインに乗って、ブラス/フルート(シンセ)、ストリングス(シンセ)とラテンパーカッション が流れていく。 漂うような感覚が新鮮と思う。 エンディングで展開が変わる(トロピカルな雰囲気になる)のもユニーク。

タイトル曲#5は性急なハープシーコードが活躍する、アップテンポでキャッチーなナンバー。 タンジェリン・ドリームにしては珍しく、オーケストラヒットも出てくる。 シングルカットできそうな作品だ。

#6は#3の変奏曲?とも思えるが、ミディアムテンポの鋭いシーケンスと、 ひねりの効いた転調が意外性を演出する。これも名曲。

#7はスローテンポのニューエイジ・イージーリスニング。 しかしメロディが有無を言わせないほど綺麗なので、説得力は十分でしょう。 たぶんこのトラックだけエレクトリック・ギターが使用されている。

#8は、変拍子を多用した直線的ミニマル。 展開らしい展開もなく淡々と盛り上がる様は、いかにもタンジェリン・ドリームらしい。

そして、いよいよクライマックスに向けて風雲急を告げるように、#9に突入する。 アップテンポなリフレインとシーケンスがスリリング。 2分を過ぎると、さらに感情を煽るように新パートにつながる。 3分30秒からは輝く雲海を思わせるような美しい持続音を残してフェイドアウトしていく。

叙情的な擬似アコースティック・ギターで始まる#10は、本作の締めくくりにふさわしい、 ドラマティックなナンバー。美しい旋律を伴って、後半の盛り上がりに差し掛かるあたりは、感動的ですらある。 ラストは1分くらいを費やして、ゆっくりフェイドアウトしていく。 タイトルのガザルは中近東〜東南アジアの伝統音楽を指すらしい。

当時、テクノ・クラブサウンドはまだ台頭せず、本作でもテクノ色は感じられない。 逆にそれが持ち味になっていると思う。 90年代型タンジェリン・ドリームは、この時点で既に完成していたのかも知れない。



見開き
裏表紙

モニカ・フローゼによるクールなアートワーク。 表紙の人型は切り抜きで、穴から見開きの色が覗き見える。 しかし、再版が進んでいくと切り抜きは無くなり、単なるベタ印刷になってしまった。 当時リリースされた国内盤もベタ印刷で、裏表紙は「見開き」画像にカタカナでタイトルを上書きする、 センスの悪いものだった。


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