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『陽気なサンバ組曲、ただしnon-remaster推奨』 パトリック・モラーツがYES在籍時に発表した1stソロアルバム。 全後半7曲ずつが連続し、前半の最終フレーズが後半の冒頭で使われるなど、アルバム全体で1曲(約46分)という構成だ。 いわゆるシンフォニック・ロックとは趣が異なり、以下のようなエレメントを次々に切り替える、性急な展開になっている。
(1)陽気なプログレッシブ・ラテン(サンバ)・ロック もちろんキーボード・プレイヤーの作品だけあって、ピアノ・シンセ・サウンドは多彩であり、気品あふれるクラシカルなフレーズが随所に盛り込まれる。 終盤になると、各種主題が次々現れる大詰めパートから、メロトロンによる最終章へとなだれ込む。 本作以降のソロ3作は、通称「ブラジル3部作」と呼ばれているようだ。 サンバを大胆に取り入れたプログレ作品は希少であり、筆者は他に思い浮かびません。 YES在籍時の作品ということで、YESっぽいと言う意見も見かける。 確かに、序盤のハーモニーはそれっぽいし、Intermezzo(前半の英・仏2重の女性ボーカルが聴き所)後半のインストパートが、ちょっとだけ錯乱の扉っぽいけど、 それほど重くはないし、むしろYESという先入観がない方が楽しめると思う。 ちなみに冒頭の効果音は、PrinceのLotusFlow3rに近い。 聴き比べてみるのも面白いが、LotusFlow3rでは何故か巨大なクリックノイズあり(筆者は消したヤツを聴いてるが)。 2006年頃、TimeWave Musicレーベルからボーナストラック付きのリマスター版がリリースされた。 通販サイトへの投稿を見る限りでは「アコースティック・ギターなど、埋もれていた音がはっきり聴こえる」など、音質面でも好評のようである。 確かに「埋もれていた音が聴こえる」のは間違いない。 しかし音質が良いかと問われれば、それは「否」である。 「過ぎたるは及ばざるが如し」といわれるとおり、過剰なエンハンスメントによってキンキン鳴っているだけ。 開始2:40あたりは副作用が顕著で、低音が歪んで(音割れして)いる状態。 一方、従来版の録音はクリアであるものの、やや臨場感に欠ける。 サンバならではのパーカッション群を十分に表現し切れていない印象あり、 Sound Engine Freeを使って自分でリマスターしてみる。
以降、ボーナストラックについて。
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