Houzan Suzuki
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ZIP CODE-00000 (May 2005)

Sounds for dying moments - 臨終のための音楽
干渉波を駆使し、「死にゆく自身のための音波」をコンセプトにした、実験的な作品。 メインタイトル(Zip code ゼロ)は、どこでもない場所を示す。 作者によれば、本作の構想は2004年末にさかのぼり、 難しい題材ゆえに、リリース直前までミックス変更が繰り返されているとのこと。 ゆえに密度の濃い、アグレッシブな作品に仕上がっています。

自主制作 - total time : 79.37


  1. 「両生類」または「色の波」13.52
  2. 「魚 類」または「闇の波」20.30
  3. 「昆 虫」または「形の次元」10.18
  4. 「微生物」または「光の波」13.09
  5. 「鳥 類」または「響(ひびき)の次元」14.09
  6. ボーナストック/「安息」または「星空」(リミックス)7.38

冒頭からストリングスが、叙情的なフレーズを奏でる。 室内楽的な生々しさを感じるが、 どこか取り留めのない、のほほんとしたムード。 でも、これは最初の3分だけ。

突然の休止から、邪悪な金属音と単音ベースが、スローなリズムを刻む。 メロディらしいものは無い。 この「金属音」は、高域の多重干渉波を使っているのだろうか、 異常な振動音であり、いやらしい音になっている。 Tangerine Dream / Ricochet Part1 序盤のような展開を経て、 終盤は荒々しいシーケンスが暴れまわってクライマックスに突入する。

長編の#2はドローン系。 コズミックな効果音をバックに、高域の多重干渉波が耳をくすぐるように飛び交う。 もちろんメロディらしいものもリズムらしいものも無く、電子ノイズとエフェクトの音空間に漂うのみ。 終盤は音程感の無いシーケンスを加え、ひたすら漂うのみです。

#3は生録サンプルを多用したコラージュ。 いわゆるカオスっぽいミュージック・コンクレートではなくて、 パーカッシブな破裂音のような「明るさ」です。 もちろんシンセ音もふんだんに使用され、生音との対比が活かす。

#4を過ぎると、内省的な美しさが前面に出始める。 #5のシーケンスも、Tangerine Dreamファンならニヤリとさせられるだろう。 同期演奏されない、網目のようなシーケンスを堪能しよう。 この作品では珍しく、音程のある「メロディ」が1回だけ現れる。 終盤は冒頭のストリングスが再現して、本編終了です。 前作同様、いわゆるソナタ形式(円環構造)になっております。

ボーナストラックの#6は、Z-55からのリミックス。 電子音による透明な響き。 エピローグを飾る美しいアンビエント・シンセです。

「死」をテーマにした作品ということで、 筆者は当初、リスナーを拒絶するような冷徹なレクイエム、を予想していた。 しかし音を聴く限りは、とても力強く、エネルギーに満ち溢れている。 曲構成や展開も、かなり明快。 曲名からも「生態系」「進化」など、むしろ「生」のコンセプトさえ伺うことができる。

この作品も従来作同様に、Tangerine Dreamを思わせる要素があります。 「最近のタンジェリンは、ちょっと、、、、ならば自分で作っちゃえ!」的な野心作でもあるので、 その道のファンの方には、間違いなくご満足いただけると思います。



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ジャケットのTwilightは日没後か夜明け前か? コンセプトでは黄昏だと思うけど、こんなに綺麗な黄昏は記憶の彼方。 詳細情報およびご購入については、オフィシャルサイトを参照ください。


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