Houzan Suzuki
[末尾]


Z-55 Sound for Sex (Autumn 2004)

作者は数年にわたり「セックスに最適な音楽」についてリサーチを続けていたが、 市販の音楽では適切な作品が見つからず、むしろ「セックスに音楽は邪魔」とさえ感じたそうである。 セックスに最適な音楽とは?その難題に挑むべく、本作は企画された。 50以上の正弦波をミックスし、干渉、うなり、揺らぎ、重低音を発生させ、 これをベースにリズム、ミニマル・シーケンス、ギターソロを 絶妙なバランスで加えることで、この作品は成り立っている。 音楽というよりも音波であると作者はコメントしている。

自主制作 - total time : 69.30


  1. 「接近」または 日食 11.32
  2. 「愛撫」または 原初の惑星 8.31
  3. 「融合」または 引力 11.33
  4. 「前戯」または 自転 11.09
  5. 「絶頂」または 流星群 10.00
  6. 「余韻」または 雲海 9.25
  7. 「安らぎ」または 星空 7.17

きわめて野心的、実験的なエレクトロニック作品だが、 決してキワモノではなく、リラックスして聴くことができる。 部分的に1970年〜1980年代初頭のTangerine Dreamに通じる音を聴くことができる。 具体的な曲名を併記しますので、参照ください。

#1は月光、あるいは蒼く輝く氷雪のような単音ドローン。 独特の揺らぎ音が、実に心地よい。 時間を追うごとに緊張を感じるサウンドに沈んでいく。 最初の長音でボリュームを適切に調整し、以降は再生音が小さく感じても、ボリュームを上げてはならない、とされている。 Force Majeureの中間部に似たサウンドを聴けます。

#2は正弦波のミックス(多重干渉波)だけのトラック。 ボコボコと、あぶくのように唸りを上げ、体を優しく包み込み、マッサージされるかのようだ。 瞑想的な重低音が、絶えず変化しながら流れていく。 以降のトラックは、多重干渉波がベースとなり、これにリフレインやリズムが加わる構成になっている。 ずばりZeit / Origin Of Supernatural Probabilities の発展系です。

#3も空ろな多重干渉波でスタートするものの、次第にリズムトラックがフェイドインしてくる。 リズムは偶数拍子系と奇数拍子系が混ざり合い、ひとつの音群となりながらヒートアップしていく。 心臓の鼓動がドキドキと上がっていくテンポに一致している。 Tangram Set1 の中間部(リズムマシン)というところでしょうか。

#4はシンセベースによる、典型的なミニマルシーケンス。 耳に残るフレーズは排除され、ヒートアップする音群のように感じられる。 やはりPhaedra やRubycon でしょう。ただしシーケンスの組み方は全く異なります。 むしろAtem / Fauni-Gena の終盤かも。

#5は再びリズム系。#3に比べると直感的。「山場」であることから加速感、ドキドキ感が顕著で、 自然と息が上がる感じ。終盤、ちょっと休むように一旦スピードを落として最後の急加速、 そして崩れ落ちるようなエンディングとなる。上り詰めていく拍動にピッタリのテンポになっている。 こちらもTangram Set1 の中間部ですね。

#6はオルガスムス後の重要なパート。 音楽的なリフレインにクールなギターソロが絡む。 都会の夜景を望む一室で安らぐイメージだ。 ちなみにギターは、シンセによるシミュレートであるとのこと。 Encore / Desert Dream の中間部に近いながら、ポジティブな印象。 ギターはNamlookっぽいです。 「出してしまったらもう終わり」ではないですよ、男性諸君。

#7は、#1に近い構成ながら、とても安らかで清々しいサウンドになっている。 音符の少ないリフレインが、かすかに聴こえてきます。 この曲はTangerine Dreamというよりも、Brian Enoに近いと思われます。

作者は「情熱的なサンバ」「ラブホの有線で聞こえてくるようなフュージョンやイージーリスニング」 「官能的でスローテンポなエレクトリックギターや、ビブラートを効かせまくりのサックス」 などなど、全て「セックスには邪魔」と断じていらっしゃいます。 加えてプリンスのアルバムComeの最後に聞こえてくる、聴いてる側が恥ずかしくなるような声も、 セックスを盛り上げる効果という意味では、NGだと思います。 以上のような意図されたセクシュアリティとは別次元の作品"Z-55"を、ぜひ一度体験なさることをお奨めいたします。



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discのキャラは、初期Virginレーベルをイメージしたもので、少しだけHRギーガー風の味付けをしているそうです。

詳細情報およびご購入については、オフィシャルサイトを参照ください。


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