EELA CRAIG / One Niter (1976)

『多芸なトリプル・キーボード』

イーラ・クレイグはオーストリアで結成されたグループ。 謎めいたグループ名の意味は定義されないようであり、正確な発音もよく判らない。 メンバーの氏名はドイツ系だが、音を聴く限りではKrautrockやBelrin Schoolとの関連は薄そうである。

このグループの売りは、なんといっても「トリプル・キーボード」。 ちょっと待てよ、マルチトラック・レコーディングを使えば一人でも十分行けないかい? それとも、ライブパフォーマンスで実力を発揮していたのだろうか? 実際はギターやフルートなどをマルチでプレイしていたようである。

本作は、1971年のデビューアルバムから5年のインターバルを置いてリリースされた2nd。 トリプル・キーボードはコズミックでスペイシーなシンセサウンドではないが、その美しさにおいて定評あり。 泣きギターやジャズファンク的なタイトなリズムセクションなど演奏力も高く、聴き所も満載である。 アルバムの構成は、個々の曲をいろいろ演ってみました的なものであり、好きな所から聴き始めても良さそうだ。

[Circles] 13:57
4パートから成る組曲、とは言っても「演りたいスタイル」をメドレーで繋げてみましたという作風。 各パートごとにスタイルを変える。
The Mighty : ファンファーレのようなブラスシンセ、アンビエントなフルート、そして美しすぎるストリングス・シンセ
The Nude : 嵐のように駆け抜ける、変拍子ファンク・ロック。雷鳴で強制終了されて次パートへ。
The Curse : 風のように漂うハスキーボイスが奥ゆかしいボーカルナンバー。個人的にはグループでも屈指の名曲と思うのですが、いかがでしょう。泣きギターでクライマックスを迎える。
The Blessed : 泣きギターは加速して、ブラスシンセのファンファーレでクローズされる。

[Loner's Rhyme] 9:20
イントロのギターとフルートが綺麗なバラードと思わせたところで、予想外の展開を見せる。 泣きギター、(本作では希少な)コズミックなシンセ、ラテン・ファンク風の緊迫したリズム隊など。

[One Niter Medley] 11:13
5パートから成るインストナンバー。 なんといっても、序盤のバロック&クラシカル風キーボード群が素晴らしい。 後半のロックパートはディスコ風アレンジやLoner's Rhymeの一節、そして泣きギター。 でも序盤のキーボード群のインパクトが強すぎて、若干の尻すぼみ感はある。

[Venezuela] 3:33
小曲ながら、奥ゆかしい旋律のボーカルパートと、アコーステックギター・フルート・ラテンパーカッションの掛け合いが見事な、重要トラック。

[Way Down] 7:30
アンビエントな導入部、4拍+5拍のファンク・ロック、バロック風の繋ぎ、ラストを締める退廃的なボーカルパートで構成される組曲のようなナンバー。

個人的には、このアルバムがいちばん良い出来だと思っている。


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