Prince
LotusFlow3r - MPLSoUND - Elixer (Mar 2009)

NPG Records - total time : 48:33(46:48) + 47:41 + 44:22

LotusFlow3r
  1. From the Lotus... 2:46
  2. Boom 3:19
  3. Crimson and Clover 3:51
    (The Morning After 2:06)
  4. 4Ever 3:47
  5. Colonized Mind 4:48
  6. Feel Good, Feel Better, Feel Wonderful 3:52
  7. Love Like Jazz 3:49
  8. 77 Beverly Park 3:04
  9. Wall of Berlin 4:16
  10. $ 3:57
  11. Dreamer 5.30
  12. ...Back 2 the Lotus 5:34
MPLSoUND
  1. (There'll Never B) Another Like Me 6:01
  2. Chocolate Box 6:14
  3. Dance 4 Me 4:58
  4. U're Gonna C Me 4:36
  5. Here 5:15
  6. Valentina 3:59
  7. Better With Time 4:54
  8. Ol' Skool Company 7:30
  9. No More Candy 4 U 4:14
Elixer
(Bria Valente)
  1. Here Eye Come 4:28
  2. All This Love 4:39
  3. Home 4:26
  4. Something U Already Know 5:44
  5. Everytime 3:50
  6. 2Nite 5:02
  7. Another Boy 3:56
  8. Kept Woman 4:15
  9. Immersion 4:02
  10. Elixer 4:00

前作Planet Earthから約2年ぶりになる新作は3枚セット。 まず当時のオフィシャルサイトwww.lotusflow3r.com(会員登録、年会費$77必要)からの配信が始まり、 米国量販店Targetから$11.98の爆安価格で限定販売された。 Targetは米国外には通販しないとされ、入手性に懸念があったが、無事に国内でも流通した。 価格は、お買い得とは言え、2000円台前半くらい。 のちにP-Vineより国内発売されたが、なぜかMPLSoUNDのみの単品で2500円くらいと、将来の品薄を見越したような設定だった。 以降、結局は中古版などに頼らざるを得なくなり、プレミア価格の場合もあるので注意が必要だ。

配信(ダウンロード)版は、フィジカル版(CD, LP)版とは内容が異なるので、これにも注意が必要だ。 詳細は後述する。 ちなみに、サイトlotusflow3r.comは、開設から一年後に予告なくコンテンツが削除され、その後アクセスも出来なくなった。 このような突然閉鎖は以前から繰り返されており、最初から予見できことではある。

以降、内容について紹介するが、歌詞の情報が手元に無く、いつものようにサウンド面をざっと流す点、了承ください。 ただ、最近のアルバムに比べて、歌詞のフレーズが耳に残りやすい。 言葉の韻に、インパクトがあるのだろう。

LotusFlow3r
公式にはプリンスのギターをフィーチャーしたアルバムとされる。 ジャズ・ファンク系バンドを主体とした、重厚な音創りになっている。 冒頭とラストは、変幻自在なジャズ・ロック・インストゥルメンタル。 ノンストップMIXも多々あり、トータルアルバムとして聴けるのもポイントが高い。

Boomは、ダーリンニッキーのようなフレーズが聴ける。 4Ever と Colonized Mind も何気に名曲バラードだ。 この2曲は陽・陰の対比が見事で、上手い編集だなと思う。 Love Like Jazz はタイトルどおりメロディアスで叙情的なナンバー。 インスト曲 77 Beverly Park は、リリカルなインタルードになっている。 Love〜の残響が戻ってきて77〜につながる部分も面白い(あえぎ声とギターがエロい)。 Wall of BerlinとDreamerはプリンスのギターがたっぷり聴けるファンクロックだが、 間に挟まる変態チックな$(Money)こそ一押しと思うのだった。

ダウンロード版とフィジカル版との相違は3曲目。
The Morning After(ダウンロード版)
Crimson and Clover(フィジカル版)

The Morning Afterは軽快なナンバーだが、びっくりしたのは、そのイントロ。 GrobschnittのLockpommel's Land?? ていうか、間違えてJoker(illegal収録)かFantastenを再生したのかと思ったほど。 ほんとにあせったよ、そのまんまだったから。

Crimson and Clover は Tommy James & The Shondells のカバー曲。 この曲もリリース前からWEB公開され、素敵なアレンジ(原曲聴いたことないけど)と思っていた。 クライマックスのギターもバッチリ(前作のGuitarっぽいフレーズもあり)。

「フィジカル版にアドバンテージを与えるために、Crimson and Cloverを追加収録した」のなら丸く収まったと思うのだが、 The Morning Afterを削ってしまったことには、理解に苦しむ。

もともとは、BoomからThe Morning Afterへ加速するタイトなメドレーだったが、 そのつながりを断ち切って、無理やりCrimson and Cloverをつなげてしまい、まるで急ブレーキ。 しかも、Boomの最後の一音とCrimson and Cloverの一声目が被っているので、これでは1曲として聴けないよ〜。 流れの良さに着目すれば、この改変は失敗と思うが、いかがでしょう?

MPLSoUND
こちらはマルチトラックスタイルで、十八番のスロー再生スネアドラムも沢山使われている。 導入部は少々ベタすぎるが、程よく快調に飛ばす王道ファンク。 続くChocolate Boxは、WEBでプレ公開されていたインスト Disco Jellyfish にボーカルを加えたロングバージョン。 不安定な音場に壊れかけたビート・フレーズが活かす。 もともとのメロディアスなピアノは全削除された一方、ボーカルパートには明確なメロディがない。 よりファンキーなアレンジになったようだ。

#3の Dance 4 Me は、このアルバムのハイライト。 お祭り太鼓のようなファンキービートに乗って、カミール声で変態チックなフレーズが歌われる。 まさにプリンス冥利に尽きる逸品だ。 英語苦手でも「EYE like it when u Dance 4 Me, はぁれるやぁあああ」が脳内リピートしちゃいます。 #4 U're Gonna C Me では減速して、fatでマターリしたファルセット・バラード。 ストリングスが良い味を出している(ピアノアルバムOne Nite Alone 収録曲の別バージョン)。

リリカルで切ないラブソング、かもしれない#4、 「ヘイ・ヴァレンティナぁ、Tell Yo Mama Tell Yo Mama(ギターがサンタナぁ)」な#5、 黄昏たバラードの#6を経て、終盤の山場 Ol' Skool Company へ。 これもまた変態チックなファンクで、カミール声全開の演説がキモチワルくて最高。 あうぅ〜、あうぅ〜、おーすくーかんぱにぃー、 Power 2 the people, Power 2 the people .... Purple Rain のイントロで始まるムービーが、ようつべにうpされてたけど既に消されている。 ラストは、人を喰ったようなヘンテコ・ファンクナンバー No More Candy, No More Candy 4 U ♪

Bria Valente / Elixer
3枚目はプリンスのプロデュース作品で、 ミネアポリス出身の新人女性ソウル歌手 Bria Valente(ブリア・ヴァレンテ)名義。 基本的にボーカルがブリア、作詞作曲・演奏はプリンスの手によるものと考えてよいだろう。 全編プリンス節やプリンス流アレンジでまとめられている。

ブリアの声質は少しばかりハスキーでクール。 声量はあまり無いようだ(ロージー・ゲインズ、シャカ・カーン、ボニー・ボイヤーあたりと比べるのは気の毒か?)。 その点を考慮してか、 全般にチルアウト風にまとめられており、アンビエントとしても聴ける。 曲としては繊細でメランコリックなものが多く、 やはりプリンスのメロディメーカーとしての力量を感じることができる。

各曲、プリンスがバックボーカルを担当しているのでは?と妄想してしまうが、 真打ちはラストのイリクサーまでお預け。 待ってましたとばかりに、ファルセット・ボイスがマターリと淫靡にデュエットします。

あるブログでは、「ウゥーッ」を多用し過ぎと指摘されていたが、言われてみれば、そうかもしれない。 まぁ、この3枚目はプロモーション的な位置づけのボーナスディスクだと思えばよいだろう。

【苦言】
質・量ともに満足できる作品ながら、音質面(マスタリング)については、非常に厳しい評価になる。

Lotusflow3r自体は、とても音の良いミックスであるが、 マスタリング時に音圧を上げすぎた結果、あちこちで録音レベルが飽和している(Loudness War)。 その結果、音割れやバリバリしたノイズが聞こえて、聴けば聴くほど気になる一方である。 また、冒頭4秒付近のノイズも話題になっている。 その 異常な波形 は、まるでマスタリング・ソフトウェアに不具合があり、データが吹っ飛んだかのようである。

MPLSoUNDも同様にLoudness Warであるが、傾向はかなり異なる。 ビートの一打一打が、いちいちグシャッと歪んで気持ち悪い。 リッピングして波形を見ると、スプーンで削り取ったような 異様な波形 が、あちらこちらに。 いや、これは完全にマスタリング失敗でしょ、 よくもまぁこんなショボい音源を売り出せるなぁ、という出来栄え。

Lotusflow3rの音割れを補正したリマスター盤を作ってみたが、かなり聴きやすくなった。 カットされたThe Morning Afterを復刻し、Crimson and Cloverも収録。 通常版のCDは、もう聴けない。 MPLSoUNDもトライしてみたが、特殊な歪みゆえに、あまり効果が上がっていない。 なので発売前にネットで出回っていたデモ音源を組み込んで、Fake Extended Version化してみた。 意外に楽しめるかも。


パッケージ外側


パッケージ内側



LotusFlow3r 全体イメージ
Elixer (disc)

ジャケットデザインは極彩色だが、コストに見合った安普請な作りである。 シングルCD用の簡易紙ジャケットを3枚連ねたような形。 CDの出し入れもしづらく、傷が入るなどの事故も予想されるので、保管用のケース(もしくは不織布)を用意した方がよい。

表紙にはプリンスの口がデザインされているが、グラフィックスの全体像はスケールの大きなものである。 当時のサイトwww.lotusflow3r.comで見ることが出来た。 Elixerも、CD盤面が本来のグラフィックスと考えられる。 完全版の画像を探してみたが、ごく小さいサイズのものしか見つからない。

付け加えて、 プリンス流の記号やスペル表記に慣れない方は、 タイトル LotusFlow3r の読み方すら迷うだろう。 Lotus Flower が正解。 タイトルの3はEと掛け合わせたもので、3枚組みのダブルミーニングとされている。


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