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Emancipation (Autumn 1996)

NPG Records / EMI 7243 8 54982 20 - total time 3:00:00


disc one
60:00
  1. Jam Of The Year 6:10
  2. Right Back Here In My Arms 4:43
  3. Somebody's Somebody 4:43
  4. Get Yo Groove On 6:31
  5. Courtin' Time 2:46
  6. Betcha By Golly Wow! 3:31
  7. We Gets Up 4:18
  8. White Mansion 4:47
  9. Damned If I Do 5:21
  10. I Can't Make U Love Me 6:37
  11. Mr. Happy 4:46
  12. In This Bed I Scream 5:40
disc two
60:00
  1. Sex In The Summer 5:58
  2. One Kiss At A Time 4:41
  3. Soul Sanctuary 4:41
  4. Emale 3:38
  5. Curious Child 2:57
  6. Dreamin' About U 3:52
  7. Joint 2 Joint 7:52
  8. The Holy River 6:55
  9. Let's Have A Baby 4:07
  10. Saviour 5:48
  11. The Plan 1:47
  12. Friend, Lover, Sister, Mother/Wife 7:37
disc three
60:00
  1. Slave 4:51
  2. New World 3:43
  3. The Human Body 5:42
  4. Face Down 3:17
  5. La, La, La Means I Love U 3:59
  6. Style 6:40
  7. Sleep Around 7:42
  8. Da, Da, Da 5:15
  9. My Computer 4:37
  10. One Of Us 5:19
  11. The Love We Make 4:39
  12. Emancipation 4:13

O{+>(プリンス)はワーナー・ブラザースとの関係に一区切りを付け、 3枚組み180分に及ぶ超大作、題して「開放」をEMIからリリースする。 本国ではプロモーションとしてのTV出演をこなし、「このアルバムを作るために生まれてきた」など、かなり力を入れていた。 マイテとのご結婚から間もない時期であり、熱々ぶりを披露していたのだが、、、、

3枚組みの分量ながら、価格設定は3000円〜4000円以内であり、お買い得感が高い。 アップテンポな曲は少なめで、1980年代のようなテンションを期待すると「ちょっと違う」かもしれないが、 非常に良く出来た魅力的な楽曲に、数多く出会うことができる。

ほんの数ヶ月前にリリースされた前作 Chaos & Disorder は、 叩きつけるようなテンション(あるいは荒っぽさ)が前面に現れていたが、 本作ではがらりと趣向を変えた。 The Gold Experience などに代表されるバンド(The N.P.G.)指向は後退し、 スタジオワークによる丁寧な手造りサウンドになった。 ある意味、非常にプリンスらしい音といえるだろう。

かつてはプリンスのアルバムにカバー曲が収録されたことは無いのだが、 本作では4曲(disc1-6,10,disc3-5,10)も収録され、話題になった。 これらは非常に丁寧な作りになっており、 プリンス曰く「カバーすることで敬意を表した」そうである。

さらに「本作から10曲をシングルカットし、今後3年間はアルバムをリリースしない。」と発表。 1stシングルは、Stylisticsのカバー Betcha By Golly Wow!、2ndシングルはThe Holy River(Somebody's Somebody のリミックスをカップリング)と順調にリリースされるが、ここでハプニング。 3rdシングルFace Down が準備される段階で、一部のファンがシングル発売を阻止する運動を行ったらしく(この曲のシングルカットに疑問を持つのは勝手だが、とんでもない迷惑行為)、本当に中止されてしまったとのこと。 せっかくリミックス Extended Rap Money Mix も作られていたのに、レアなプロモ盤かブートでしか聴くことが出来ない。 更に米EMIレーベルが閉鎖される不運も重なり、以降のシングルリリースは凍結された。

3枚のディスクは、それぞれ固有のコンセプト(傾向)を持っている。 以下のコーナーで簡単に紹介する。

disc 1)
1枚目はこれまでの活動を総括するような王道的楽曲で構成される。 明朗なジャズファンク・ロックが特色だ。 冒頭の Jam Of The Year は、当時のコンサートのオープニング曲であり、とても高揚感のあるナンバーである。 ハイライトは5曲目の Betcha By Golly Wow! で決まりだろう。 スタイリスティックスのオリジナルバージョンを尊重したアレンジで、 美しいサウンドとファルセット・ボイスが映える名演だ。 ラストはベットで嬌声を上げて終了。

disc 2)
2枚目はマイテとの結婚に関連した内容で、本作だけではなく1990年代における最高作との呼び声が高い。 対抗馬は、アルバム the gold experience だろう。 3枚中ではバラード曲の比率が高く、必然的にファルセット・ボイスの作品が多い。 バラード曲は繊細で妖艶。珠玉の旋律を持っている。 オープニングは個人的にもお気に入りの Sex In The Summer 。 クールなファンクナンバーで、ライブでも聴いてみたかったな One Kiss At A Time は色気たっぷりのスローファンクで、これも名曲との評価あり。 1990年代後半はインターネットの普及に伴い、それに関するコンセプトも現れる。 http://www.emale.com(ダブリュ ダブリュ ダブリュ ダット イメィル ダット コム)など。 メロディアスなバラードやジャズファンクに混ざって異彩を放つのは、3枚中最もアヴァンギャルドな Joint 2 Joint 。 めくるめく奇怪な展開に翻弄される。 そしてシングルカットされた The Holy River, Genesis の Dance on a volcano と同じイントロ?で始まる Let's Have A Baby も注目曲。 プリンスはマイテとの子どもを出産するものの、重い先天病により生後1週間で失ってしまう悲劇に遭う。 ゆえに物悲しく響く。 クライマックスはホーンセクションが活躍するファンクバラード Saviour で決まり。 残りはボーナストラックと思えばよいでしょう。 The Plan は
Kamastraで聴こう。

disc 3)
3枚目はオルタネイティブというか、割に好き勝手やった感じ。 こちらの冒頭3曲は、アップテンポなビートでぶっ飛ばすものの、一般に評価が低い。 叩きつけるようなリズムと音程不明瞭なボーカルの Slave は挑発的な作品で、 本作では珍しく負のオーラが漂っていいる。 言うまでもないが敵視されているのは Warner Bros. であろう。 New World は「ダサいテクノ」として知られる。 テクノを嘲笑した作品なのか、それともテクノは苦手なのか。 The Human Body も、より性急なトランステクノ。 そして何度もオーケストラ!コールするものの、オーケストラは鳴らず、寂しく終わる Face Down 。当時のライブでは派手なMother Fuckin Bass が大人気であった。 後半も、珠玉のカバー・バラード La, La, La Means I Love U, 切ない名曲 My Computer, 宗教色の強いカバー曲 One Of Us など聴き所は満載である。 ラストは、disc 1 冒頭のリバース音が現れて、いわゆる円環構造(Pink Floyd の The Wall みたいなもの)になっている。



裏面
ブックレット

燃えるような朝日(色調からすると夕日かもしれない)にむかって、束縛の鎖を自ら断ち切るプリンス。 その頬には、SLAVE(奴隷)と書かれている。。。


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