The Dark Side Of The Moog I - V
Pete Namlook and Klaus Schulze featuring Bill Laswell

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「The Dark Side Of The Moog」は、FAXレーベルの総帥ピート・ナムルックと、ジャーマンプログレの重鎮クラウス・シュルツェとの、まさに夢の共演シリーズだ。シュルツェは、タンジェリン・ドリームのファーストアルバム、アシュラ・テンペル、ツトム・ヤマシタとの共演、そして相次ぐ新作リリースと、活発な活動を続けている。シリーズ4作目からは、ジャズ・ベーシストの鬼才、ビル・ラズウェルがゲスト参加して最強のコラボレーション作品(笑)になった。ビル・ラズウェルはピート・ナムルックとの共演のかたわら、自らのレーベル「Subharmonic」を設立し、テクノ系の作品もリリースしているようだ。マイルス・デイヴィスのリミックス作品も記憶に新しい。有名なところでは、ハービー・ハンコックとのコラボレーション作品、「Rock It」「Sound System」「Perfect Machine」などが上げられる。これらは、多くの人が何らかの形で耳にしたのではないかと思う。自身も大好きだったので、かなり聴き込みました。

タイトルの「The Dark Side Of The Moog」はピンク・フロイドの「The Dark Side Of The Moon」から採ったもので、収録曲名もフロイドのナンバーやアルバムタイトルをインスパイヤしたものである。曲はシュルツ色が強く出ているが、サウンド面のイニシアティブはピート・ナムルックがとっているようだ。

この作品の他に、「Air」「Atom」「Outland」などで、シュルツェの名を見ることが出来る。


The Dark Side Of The Moog (1994/10/17)

ナムルック・シュルツェの記念すべき競演第1作。 シュルツェ氏のソロ作に比べると組曲的な構造になっており、はっきりとした曲展開がある。 元ネタは"Wish You Were Here(あなたがここにいてほしい)"。 Pink Floydの曲からの引用は一切無いが、 曲の流れ(クライマックスの配置)は、原曲の構成を意識しているかもしれない。

PK08/96 - total time : 51.21

”君がそこにいてくれたなら”
0:00 悲しげなストリングス系のオープニング。シュルツェの初期作品(Cyborg, Ash Ra Tempel / Traummaschineあたり)に通じるサウンドだ。 4:00 シンセ音をグニョグニョとピッチベンドさせる、遊びのパート。 9:30 重厚なドローンから、ノンビートのシュルツェ節ストリング・シンセが始まり、Eギター風の単音シンセソロが絡む。 17:40 速いシーケンスが滑り込み、軽快なリズムがスタート。 シュルツェ節は聴こえず、シンセの使い方はNamlook風。 次のパートに向けての助走期間かもしれません。 24:00 一旦ブレイクの後、シュルツェ風シーケンスと、シュルツェ節フレーズが開始。 このシーンは、何度聴いても身震いするほど格好良い。 まさに、本シリーズの醍醐味と思う。 シュルツェのソロ作では、このまま最後まで続いてしまうことが多いですが、 そうは行かないところが、シリーズの特徴か。 27:10 一旦静まり、バックでかすかに流れるストリングシンセと発振音。 10分もの緩衝楽章です。 37:35 再びシーケンスが復活し、シュルツェ節が流れ出す。シンセソロが炸裂してクライマックス。 46:45 エンディングに向けて、メロトロン・コーラスが静かに流れて、 49:00 グニョグニョ・シンセ音がしばらく流れて終了です。
  1. Wish You Were There 51.21


The Dark Side Of The Moog II (1995/03/20)

ナムルック・シュルツェの2作目。 前作以上に壮大な曲展開が印象的だ。 元ネタは"A Saucerful Of Secrets(神秘)"。 ジャケット画像はFAKEです。

PK08/99 - total time : 61.01

”環境大盛り”
0:00 ギシギシと岩が擦れるようなノイズと、虫の鳴き声のような自然音が流れてくる。 3:40 突如として荘厳な鐘の音が響く。ダークかつ神秘的なサウンドで、ぞくぞくするような緊張感が伝わってくる。 本作最大の聴き所は、この部分かなと思えるほど。 16:00 鐘の音がフェイドアウトし、ほぼ聴こえなくなる。電子音と自然音のみ。 21:15 発振音のリズムが加わるものの、曲はまだ動き出さない。 24:40 水流のような音がする。 26:40 単音シンセソロが、悲しげに鳴り響く。 29:30 シュルツェ節のストリング・シンセが、ようやくキタ━━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━━!!!!! 33:40 再び発振音のリズムが加わって、シーケンスとリズム隊。いよいよクライマックスに突入。 44:30 ストリング・シンセによる緩衝楽章。 50:50 再びシーケンスが入り、ラストスパートしたところで、 53:10 最初のイメージ(効果音とノイズ)に戻ります。
  1. A Saucerful Of Ambience 61.01


The Dark Side Of The Moog III (1995/08/28)

ナムルック・シュルツェの3作目。 本作からパート分けされて、パート毎の曲想の相違が際立っている。 やはり前半が良いです。 元ネタは"Atom Heart Mother(原子心母)"。

PK08/101 - total time : 59.00

”幻心兄弟”
Part1は単音ドローンに唸るシンセ。 基本的には「ゴォーッ」だが、囁くような効果音が味わいを添える。 Mirage / Velvet Voyage にも通じるコズミック・サウンドを堪能できる。 多少現代的な感じはするが、鬼気迫るような緊張感は、なかなかのものです。 Part2に入ると、荘厳なシュルツェ節ストリング・シンセが加わる。 コズミック・サウンドとシュルツェ節の競演は、いつ聴いても格好良いですね。 Part3は軽快な電子音ビート。 ほとんどメロディらしいものはなく、Namlookっぽいパート。 そしてPart4では、シュルツェ節が大々的に炸裂。 でも、かなりポップだな。 Wish You Were Thereでも同様の展開があったが、それほど緊張感は感じられない。 Part5はボコーダー・チャットに続いてストリング・シンセ隊。 Part6は導入部の再現っぽいけど、割りにあっさり終わります。
  1. Phantom Heart Brother Part l-Vl (18:26, 12:15, 10:05, 6:12, 9:12, 2:48)


The Dark Side Of The Moog IV (1996/02/12)

本作からビル・ラズウェルが加入。 ただし、ビル・ラズウェルのクレジットはPart1,2,3,5,8。 シュルツェ色の強い前半、そしてアイディアの断片をつなぎ合わせたような後半(シュルツェ色は極めて薄い)と、 明確な2面性を持つ。 ハラルド・グロスコフ(Harald Grosskopf)を彷彿とさせる、華麗なリズムセクションが聴き所である。 元ネタは"The Piper At The Gates Of Dawn(夜明けの口笛吹き)"。

PK08/108 - total time : 60.00

”夜明けの門の3人の笛吹き”
Part1冒頭のストリングス(サンプラーかも)は、Richard Wahnfried(Trance Appealだったか)と同じもの。 スピード感のある導入部だが、次第に音数が減っていき、断続的にパーカッションが鳴る。 シーケンスが入るとPart2。 アップテンポでクールなビートに、グロスコフを彷彿とさせるパーカッション。 もちろんシュルツェ節も炸裂して、本作の山場を構成する。 ディストーション・ギターのような余韻を引いて、消えていく。 ここまでで約28分。ヴォコーダーかエフェクタを使ったチャットによる小休止(Part3)があり、Part4以降が後半となる。 Part5では、ラズウェルの重厚ベースが「ぶぃんぶぃん」鳴る高速ブレークビーツに「おっ!」と思うが、すぐに退いてしまう。 続いて「静」のパートで、悲しいフレーズのギター(Part6)や、鐘の音(たぶん電子音)だけの反復が聞ける(Part7)。 そして先のベース+ブレークビーツのPart8。シリーズとしてはファンキーである。 オマケのようなPart9でシーケンスが鳴り、鐘の音で一発締めて終了。
  1. Three Pipers At The Gate Of Dawn Part l-lX (6:55, 21:47, 4:57, 2:20, 2:27, 7:56, 2:53, 8:51, 1:50)


The Dark Side Of The Moog V (1996/12/09)

この作品は長編1曲ではなく、比較的短いパートで構成された組曲である。パート毎の性格がはっきりした作風で、1曲というよりもアルバムと捉えた方がよい。前作のような猥雑は影を潜め、アンビエントを極めようとする意欲作。 従来と比べ、アップテンポな曲は収録されていない。 故モーグ博士の声が聞けるという意味でも貴重なアルバムだ。 ビル・ラズウェルのクレジットはPart3と7。 元ネタは"Alan's Psychedelic Breakfast(アランのサイケデリック ブレックファースト)"。

PK 08/123 - total time : 60.20

”サイケな朝食兼昼食”
Part1は、Robert (Bob) Moog博士(2005年8月21日逝去、享年71歳。いわずと知れたシンセサイザやテルミンを開発した偉人です。)による紹介演説。 Part2は濃厚なシュルツェ節アンビエント・シンセ。レゾナンスが強めに効いてます。 一旦空白が入ってPart3のシーケンスが始まる。ヘヴィでクールなダンストラック。 中間部の透明なシーケンスが見事。 終盤、ちょっと意外なリフレインが加わって、我に返ると、再び緩衝楽章Part4。 メロトロン系の翳りのあるアンビエントで、70'sプログレを連想させるノシタルジックなトラックだ。 そしてハイライトのPart5。静寂の中から、淡々としたスロー・ビートが流れてくる。 そしてクリアーなパーカッションと、控え目な電子音。間の美学ともいうべき空気の揺らぎ。 あまりの心地良さに、強烈な睡魔(笑)に襲われてしまう。 ただし、このパートはあまりシュルツェっぽくないです。 Part6もユニークな構成。 ダンスビートは最初だけで、リズムが退いた後は、シュルツェ節アンビエント・シンセが続く。 Part7は、更にダークなアンビエント。ホーミーのような音響効果が少しだけ聞こえる。 ラストPart8は、ドラマティックで美しいダンストラック。哀愁感のある、見事なエンディングだ。 単音シンセが長く鳴って終了。
  1. Psychedelic Brunch Part l-Vlll (0:14, 4:30, 8:29, 3:45, 16:21, 8:44, 9:50, 8:22)



The Dark Side Of The Moog 3
The Dark Side Of The Moog 4



The Dark Side Of The Moog 5
1 & 2 old Ambient World

1作目と2作目については、Ambient World盤で所有。 オリジナル盤は全て入手困難になっているが、Ambient Worldからの再発で、ジャケットさえ気にしなければ比較的入手しやすい。 再発後も何度かジャケットが変更され、現在では日食のような天体写真で統一されている。 しかしその画像はクオリティが低く、残念ながらプアな出来である。

FAX +49-69/450464

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