Mike Oldfield
Tubular Bells ll (1992)

Warner Misic UK 4509-90618-2 - total time : 58.34
Track 1-7 : Part 1, Track 8-14 : Part 2


  1. Sentinel 8.07
  2. Dark Star 2.16
  3. Clear Light 5.48
  4. Blue Saloon 2.59
  5. Sunjammer 2.32
  6. Red Dawn 1.50
  7. The Bell 6.59
  8. Weightless 5.43
  9. The Great Plain 4.47
  10. Sunset Door 2.23
  11. Tattoo 4.15
  12. Altered State 5.12
  13. Maya Gold 4.01
  14. Moonshine 1.42

Produced by Trevor Horn, M.O. and Tom Newman

マイクの作品は、既出曲の断片をさりげなく織り込んでいることが多く、これを見つけるのもファンとしての楽しみになっている。 判りやすいところでは、Tubular Bells がFive Miles Out のイントロに現れる、 Conflict の一節がOrabidoo に現れる、 The Wind Chimes (Part1) がAmarokに現れる、 などであるが、その大本命はマイク作品全体に流れるTubular Bells のバリエーションである。 例えばTaurus はTubular Bells の変奏であると明かされているが、更にFive Miles Out, Shadow On The Wall, Discovery へと引き継がれる。あるいはCrises やThe Wind Chimes あたりもTubular Bells を思わせるフレーズが多数登場する。 さらにベースラインやバッキングなど、ざっと聞き流しただけでは気付かないような「仕掛け」も多い。 このような効果的な「使いまわし」も、マイクの天才ゆえのことだと思う。

そこでリリースされたのが、このTubular Bells ll である。 デビュー・アルバムTubular Bells (1973/05/21発売)の「第2弾」。 古巣Virgin Records を去り、ワーナー移籍後の、最初の作品でもある。 Tubular Bells の続きとは、これ如何に? 話題性も十分で、ショップで見つけたときも、即購入だった。 実際、英国ではアルバムチャート1位になったこともあるようだ。

プレイボタンを押すと、優しいメロディのピアノソロが流れ、 そしてTubular Bells のフレーズを変えたようなSentinel へと続く。 以降もTubular Bells を少し変えたような曲が、 これまたTubular Bells と同じ展開で、最後まで続くのである。 「さりげなく」ではなく、今回は「あからさま」なのだ。 少しだけ新展開はあるものの、 「いっそうのことTubular Bells を演っちゃっても良かったのでは」 というのが率直な感想だった。

実際のところ、マイクはTubular Bells の出来に満足しておらず、 機会があればリメイクしたいと考えていた。 これをVirgin からリリースしたくなかったがために、Heaven's Open リリースなどで契約消化を進めた。 ただし版権の関係でTubular Bells リメイクの願いはかなわず、新曲として制作せざるを得なかったらしい(本項目、事実関係未確認)。 本来のリメイクは更に10年後、Tubular Bells 2003 として日の目を見る。

まるで、いわくつきの作品みたいだが、そのクオリティは圧倒的で、何度か聴くうちに「ねじ伏せられて」しまった。 「本当にすごい。最高。」と。

この作品は、初代Tubular Bells(初代TB)との違いを楽しむことで、より味わい深くなる。 基本的な相違点はサウンドにあると思う。 初代TBは痛いほどに緊張感がみなぎる、内向きなエネルギーに満ちていた。 しかし、本作ではどこまでも明るく開放的に響く。 少々、煌びやかすぎるサウンドは、共同プロデューサ、トレヴァー・ホーンの影響が大きいようだ。

この作品は初代TB以来、マイクの20年間に及ぶ音楽活動で得た経験と成長、あるいは心境の変化を、当時の最新テクノロジーを駆使して、Tubular Bells 形式で表現したもの、とも受け取れる。 「現在のオレがTBを作ったら、こうなるね」と見事に演じてみせた、意欲作である。

冒頭はゆったりとしたメロディの牧歌的なソロ・ピアノ。初代TBには無かったが、このフレーズが全体のテーマになっている。以降、「Part1」は初代TBにほぼ忠実な展開で進んでいく。もちろん明るく伸びやかなので、印象がかなり異なって聞こえる。終盤、ベースのリフに乗って楽器紹介「グランドピアノォ...」がスタートする。紹介内容は「デジタルサウンド・プロセッサ」というテクノロジを感じるものや「ザ・ヴェネチアン・エフェクト」という正体不明の代物もあるが、最後はもちろん「Tubular Bells」。これで大団円と思いきや、その後に躍動的な新パートが挿入され、一気にクライマックスへ。この新パートは昔、ニュ−スステーションで毎回のように使われたことがあり、耳になさった方も多いと思う。急激に盛り下がり、アコギにつなげて終了。

「Part2」は初代TBのような「ひたすら牧歌的で暖かいアコギ・パート」とは異なり、新パートの追加やエクステンデッドされた部分もあって、起伏に富んだ別の曲といった趣きである。まさしくTBの進化形を感じる。続くバグパイプ演奏「Tattoo」も圧巻(特にライブでは一大クライマックスを形成)。以降は「ニセ原人の咆哮」など初代TBに準じた展開になる。ラストの「Moonshine」はなぜかカントリー&ウエスタン。初代TBでは英国トラッド・フォークだったが、ここでは完全にアメリカ指向。

聴き終えた時の満足感は非常に高いが、あえて欲を言うなら、AMAROKのような毒気がほしかったところか。

ずばりPart1, Part2 だけだった初代TBと異なり、実に14曲もがクレジットされている。 もちろん実質は、前半7曲が「Part1 30:31」後半7曲が「Part2 28:03」である。 これは、現在の音楽流通が、曲数に応じて印税が入るシステム(30分1曲と3分2曲では、後者の収入が倍)であることに関するそうで、WEAとの契約でも「曲数を増やす」ことが定められているらしい。 「クリムゾンキングの宮殿」でもサブタイトルがたくさん付いてるのは、同じ理由によるとのこと。 原則として「AMAROK」のような最小限の曲数ではリリースできないようだ。



輸入盤
国内盤(WEA WMC5-531)

左は輸入盤、右は日本盤(WEA WMC5-531)。色調の相違が確認できる。どちらが作者の意図に沿ったものかは不明。



輸入盤
国内盤(WEA WMC5-531)

左は輸入盤、右は日本盤。透明感のある輸入盤に比べ、日本盤は単なるベタ塗りで、いまひとつ。


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