Mike Oldfield
Tubular Bells (1973-05-21)

Virgin CDV2001 , total time 48:51

  1. Tubular Bells Part1 25:33
  2. Tubular Bells Part2 23:17

Recorded at : The Manor Autumn 1972 - Spring 1973
Sound : Tom Newman, Simon Heyworth & Mike Oldfield
Sleeve Design & Photography : Trevor Key
Instruments List & Guest Players (29KB jpeg file)

『出会い、そして始まり』

マイク・オールドフィールドのソロ・デビューアルバムであると同時に、洋楽の歴史を動かした名盤。 斬新さとセールス的成功を兼ねた、希有の作品である。 本作は一般にプログレッシブ・ロックの名盤とされるが、全体を通じてロック色は薄く、フォーク音楽に根差す作品といえるだろう。

  1. 自己表現を極めるため、ほとんど全てのパートを自身で演奏。
  2. マルチトラック・テープを使用した、多重録音作品。
  3. LP片面ノンストップの、本格的シンフォニー。
  4. 本作制作を契機に、Virgin Records が設立される。
  5. 後に映画「エクソシスト」のテーマとして使用され、世界的にヒットする。

Tubular Bells 制作までの経緯は以下のとおりであり、マイク・オールドフィールドとリチャード・ブランソンとの出会いが要になっている。

マイクは姉とのバンド、サリアンジーやケヴィン・エアーズとの共演などとのかたわら、全パートを自身で演奏した、チューブラー・ベルズの原形ともいうべきデモテープを制作し、メジャー・レコード会社に持ち込んだ。 しかし、成果を得ることが出来ず、引き続き中小の会社に次々とテープを送りつけた。 そして、この作品に目を付けたのが、街のレコード店を経営していたリチャード・ブランソンだった。 ブランソンは、これを第1弾作品として発売するためにVirginレコードを発足させ、マナー・スタジオManor Studioを設立した。 レコーデングは、ほとんどがマイク一人で進められ、多重録音の回数は延べ2300回とされる(本人は300回くらいと発言したらしいが、未確認)。

Tubular Bells Part1(管状の鐘 第一部)
このタイトルはCD対応のもので、本来は「Side One」。 冒頭のピアノによるリフレインは、マイク・サウンドの看板と言うべきもの。 この導入部が「エクソシスト」で使用されたが、その楽器の重なり具合は、どこまでも牧歌的である。 夜明け前の霧に包まれた草原、といったイメージだろうか? 笛やハーモニカのような音も聴こえるが、ギターのピッチを速めて録音したものらしい。 そして、曲はめくるめく展開を続けていく。 徹底的に練られたアレンジは牧歌的ながら、痛いほどの緊張感が伝わってくる。 終盤、ベースによるリフレインに楽器紹介「クランド・ピアノォ...」が加わり、メロディが幾つもの楽器に引き継がれ、そして高らかに鳴り響くチューブラー・ベルズ、ラストはアコースティック・ギターソロで静かに幕を閉じる。
Tubular Bells Part2(管状の鐘 第二部)
このタイトルはCD対応のもので、本来は「Side Two」。 第一部に比べるとリラックスムードの組曲といった趣である。 序盤はアコースティック・アンサンブルによる、牧歌的で美しすぎるパート。 そしてティンパニとバグパイプ隊(実際はギターが使われている)に引き継がれる(この部分の別バージョンがシングルカットされた)。 それから「ピルトダウン人(ニセ原人)」の熱唱。例の「そふぉごぉ、だっふぉ、のごぉわぅ!」である。 仮名表記では何かの断末魔(お前の命はあと〜)みたいだが、 このアルバムで唯一ロックらしい部分だろう。 いったい誰が歌っているのか、クレジットを見れば判ると思うけど、天才ならではの大胆さと言うか。 静謐でシリアスなパートに引き継がれ、最終局面で「Sailor's Honepipe」が始まる。 フォークダンスのような、ほのぼのとした曲だが次第に加速し、スーパー速弾き大会に変貌して終了となる。

あまりにも有名な冒頭のリフレインは、 「トッカータとフーガ」(ある年齢層の方には、Play back part2 とした方が分かりやすいかも)にヒントを得ているそうだ。
EAEBECEA (トッカータとフーガ)
EAEBEGAE (Tubular Bells)
注目すべきはボールド体の部分、Cに上がるか、Gに下がるか、ここが分かれ目。 そして「ちょっとハマリング奏法を変えれば」あら不思議、Taurus (Airborne) の出来上がり。 いくらでも出来ちゃう、きりがないね、だそうです(マイク談)。

この作品は予算の制約から、中古のマルチトラック・テープに録音されたそうである。 それでも、各パートの分離は良くて、高音質と言える。 しかし初期版のCDでは、ノイズの目立つ場所や音の不明瞭な箇所、特に「ニセ原人」部分での音のコモり具合など、気になるところも多かった。

この作品は、何度となくリマスタリングが行われており、Simon Heyworth による1998年リマスター(HDCD)が広く知られるが、 やはり2009年版の The Original 1973 Stereo Album Mix (Deluxe Edition 付属) が最良と思われる。 2009年以降は、通常のTubular Bellsのアルバムを単体で買おうとすると、何故かNew stereo mix by Mike Oldfield, Bahamas, March 2009という別ミックスが収録されてしまっているので、注意が必要だ。 見分けるには、裏側の曲目リストを確認すると良い。 追加収録曲や2009 Mixなどの記載があれば、別ミックス版だ。 新品でオリジナルミックスを聴くには、Deluxe Edition (もしくはUltimate Edition)入手が必要になってしまった。

ジャケットアートは一目見たら忘れられないくらいのインパクトあり。 主要エレメントは、以下のとおり。
・又の字状に捻じ曲がった金属パイプ
・海
「又の字」はMike Oldfield自身のブランドを表すシンボル(アイコン)として定着している。 海は、後の作品でも何度となく採用されており、海≒水と拡大解釈すれば、大半の作品が当てはまるであろう。 本作のジャケットには、良いジャケットと悪いジャケットがある。 悪いジャケットは、波の下半分が切れていたり、過剰な色補正によって泥水のようになっていたりする。 裏面では波打ち際で骨が燃えているが、悪いジャケットでは切られて居なくなっていたりする。 そんな感じで見分けると良いだろう。



裏表紙、手前は「燃える人骨」
悪いジャケット例

Virgin Original Label

この画像は、YESでもおなじみのロジャー・ディーン制作によるVirginオリジナル・レーベル「トカゲ・ロゴ」・モノクロ版。画像は、25th Anniversary Editionブックレットから。


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