Mike Oldfield
Hergest Ridge (1974/08/28)

Virgin / Universal Music , total time 40:17

  1. Hergest Ridge Part1 21:29
  2. Hergest Ridge Part2 18:48

『前作からのプレッシャーを乗り越えて』

多重録音回数は前作Tubular Bellsを上回る、とも言われるセカンド・アルバム。 マイクが「初めて」全英チャート1位を獲得した作品とされている。 Hergest Ridgeは英国に実在する丘陵地帯の地名で、数少ない写真で見たことはあるが、北海道あたりの牧草地帯や丘陵地帯を、より広漠にしたようなイメージだと思う。 発売当時の邦題は「ハージェスト・リッジ(夢と幻の地平線)」。 まさにジャケットのイメージどおり、緑の大地、夢と幻の地平線を感じさせてくれるのだった。

Hergest Ridge(ハージェストの尾根)Part1
緑が香る草原や丘陵をイメージする、ゆったりとした曲展開だが、じっくり聴いてみると、前作以上に計算され尽くした構成であることが、よく分かる。 導入部は、前作のような印象的なリフレインは入らない。 その「第1主題」はスローで、あくまでも牧歌的。 そして第1主題は、ギターからホーンなど色々な楽器に引き継がれていく。 雷鳴のようにラウドな演奏が現れて、第2主題に引き継がれる。 以降の展開は圧巻。基本的には第2主題が最後まで続くのだが、表情豊かなアレンジを楽しめる。 季節の移ろいをサウンドで表現しているかのよう。 さしあたって「雷鳴」までを春から夏ということにする。 そして悲しげなオーボエの旋律は、散り行く落ち葉のような感傷。 冬の到来のような、緊張感あふれるベースに乗って、クリスマス・キャロル。 コーラス隊に引き継がれ、雲の切れ目から差し込む陽光が、一面に広がる雪景色を朱に染め、春の訪れを予感させるようなクライマックス。 そして第1主題を再現した、神秘的なエンディングが、消え入るように続いていく。
Hergest Ridge(ハージェストの尾根)Part2
ここからは、本格的な春の訪れ。 暖かいフォーク・タッチの第2主題から、新展開。 なんて美しいメロディなんだろう、としか言い様がない。 第1主題による緩衝楽章を経て、いよいよ大詰め。 通称エレクトリック・サンダーストームと呼ばれる、扇情的で、ぶ厚い音の洪水(これも第2主題)。 ただ押し流されるように、翻弄されるのみ。 再び序盤のテーマに戻り、ドラマティックに終了する。

オリジナルLPでは Part1/Part2 のようなサブタイトルは無く、どちらも単に Hergest Ridge と題されていた。 クレジットは、こちら

このオリジナル作品をCDで聴くには、2010年6月発売の Deluxe Edition 付属の Original 1974 Stereo Mix を入手しなければならない。 これよりも前に販売されたCDは、全てが「企画盤 Boxed」収録の別ミックスである(公式盤において例外なし)。 逆に2010年以降の通常版は、またしても2010 Stereo mix なる別ミックスに差し替えられてしまっている。 2010 Stereo mixについてはジャケットまで差し替えられており、Part1が2分も短くなっていたりで、見分けるのは簡単である。 一方で、Original 1974 Stereo Mix については「余計な加工」(詳細はDeluxe Edition参照)が行われており、 オリジナルイメージで楽しむためにはPart1のみ若干の修復が必要である。

ご参考までに、Part1をもとに、Boxed 収録ミックスの聞き分け方を紹介する。 以下が該当すれば、Boxedミックスだ。
0:12 , 鉄琴のアタック音が、金属的には聞こえない。
1:17 , ベースが鳴らない(かろうじて聞こえる程度)。
2:46 , この先、第1主題のメロディが入らず、バッキング演奏のみ流れる。
7:42 , シンセ?の「ぎゅいぃーん」という音が入らない。

ジャケットアートは前作同様に印象的。 魚眼レンズで撮影した草原を上下に貼り合わせたもの(上側のみ犬とグライダーを配置)で、 シンプルなつくりであるが、イマジネーションが限りなく広がる、優れたアートだと思う。 本作のジャケットには、良いジャケット、悪いジャケット、差し替えジャケットがある。 良いジャケットはオリジナルイメージのとおりで、裏面は犬のシルエット。 CDでは、日本版の紙ジャケットだけが該当する。 悪いジャケットは、2010年よりも前の旧版CD(紙ジャケットを除く)。 「こっちの方が良い」との意見が無いとは言い切れないが、そのような方はいらっしゃらないと信じている。 差し替えジャケットは、2010年以降に突然現れたもの。 イマジネーションを呼び起こす余地なしだが、ちょっとした仕掛けがあるようだ。 ブックレットにオリジナルイメージが掲載されているので、及第点とする。

(ご参考)
1980年代から1990年代初期にかけて、輸入盤CDは大型の箱(万引き防止箱)に収められていた。 サンプル画像はやや不鮮明だが、実物は緑が深い。 文字の位置がオリジナルとは異なり、別バージョンのようである。 ただし、箱の中身は悪いジャケットだった。



犬のシルエット(ジャケット裏面)
万引き防止箱



旧版CD(悪いジャケット)
差し替えジャケット


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