Michael Oldfield
[末尾]


Heaven's Open (1991)

本名「マイケル・オールドフィールド」名義でリリースされた、Virginレーベル最終作品。 前半5曲では、なんと御大がリードボーカルをとってます。 この作品はVirginとの契約消化のためリリースされたといわれ、 新機軸というよりも、Virginへの抗議という性格が色濃く出ています。

Virgin Japan VJCP-28015 - total time : 43.13


  1. make make 4.18
  2. no dream 6.03
  3. mr. shame 4.22
  4. gimme back 4.12
  5. heaven's open 4.30
  6. music from the balcony 19.45

マイクとVirgin(リチャード・ブランソン)との決裂は既に決定的でありながら、 Virginとの契約が残っていました。 マイクは、「Tubular Bells 2」の構想を進めていましたが、これをVirginからリリースしたくなかったので、 本作を制作したと言われています。 サウンドは全般に攻撃的で荒々しく、マイク自身、不本意な作品であるが故に「Mike Oldfield」名義ではリリースできなかったらしい。 前作Amarokでもモールス信号で"SOS" "Fuck off RB"などと演りましたが、 本作は、とても露骨です。 一方、Virginの総帥リチャード・ブランソンが、よくもまぁこのような作品リリースを許可したな、と不思議に思えます(JOKEだったのか、それとも、もう、どうでも良かったのかもしれないが)。

make make(もうけろ もうけろ)
タイトルの和訳はHASEGAWA氏によるもので、悪態をつくような曲想に合った、実に的を得たものだと思います。歌詞の内容も露骨で、「Don't you know we're not Virgin」だし、make makeときてtake take(ガッポリ戴く)、fake fake(やっぱり本作は限りなくフェイクに近いのかもしれない)だし。途中で聴かれるバタバタバタ...という高速パーカッションは機械的で、Tangerine Dreamの「Poland」を思わせる。曲とてしては良く出来ているので、メタル系のカバーに最適かもしれない。
no dream(夢はない)
続く曲も、やはり悪態をつくような印象で、私はあまり好きではないです。
mr. shame(ミスター・恥じさらし)
途中1:07頃のコーラス部分が次回作「Tubular Bells 2」にも登場します。オマケですが、0:40頃に聞こえるシンセは、ポール・マッカートニーのBand on the runに似てます。
gimme back(返してくれ)
レゲェ・ナンバー。イントロのリフが、やけに耳に残ると思ったら、これはチューブラーの変奏ですね。HDCDでは音質向上したのか歌詞がよく聞こえる。「耳を返せ、目玉を返せ」って、どろろじゃん。
heaven's open(天国開店)
コーラス隊の姉ちゃんたちから「なんで、こんなヴォーカルにハモらにゃならんねん!」と言われたかどうかは判かりませんが、本作では一押しの名曲でしょう。 イントロのアコピから爽やかなフレーズが飛び出して、印象的なエレクトリック・ギター、そしてポジティブなボーカルが耳に焼きつく。 このアルバムを聴くときには、このトラックから始めることがほとんどです(笑)。

この曲はビデオクリップが制作されています。 サイケデリックなファンタジー・アニメ(妖怪人間ベ○?)で、けっこう笑えますが、 注目するべきは別バージョンの音源が使われていること。 ギターのキーが低くなっており、全体のアレンジもどこかリラックスしている。 アルバムよりも、こちらの方が好きかな?と思いますが、唐突なフェイドアウトで終わってしまうのが残念。 このバージョンはElements DVDかシングル盤で聴ける。 シングル盤では「12" version」となっているのがアルバムバージョンで、 バージョン名の無いトラックが別バージョンになっているので注意を要する。 ベストアルバムPlatinum Collection の「12" version」も、やはりアルバムバージョンです。

music from the balcony(桟敷からの音楽)
本作の長編インストゥルメンタル。個人的な解釈を述べますと....これはIslands収録の「Wind Chimes」と対を成す作品でしょう。どちらも熱帯のリゾートを表現した音楽。ただし、Wind Chimesが珊瑚礁のような、穏やかな風景であるのに対して、バルコニーは山岳地帯(たとえばボルネオのキナバル山みたいなものですかね、TVでしか見たことないけど)のような荒々しい地形です。山岳リゾートホテル(山小屋)のバルコニーまたは仮想のバルコニーに居座って風景を体感するという設定かな。吹き抜ける風、天気雨と木の葉から落ちるしずく。雲間から差し込む夕日は稜線を朱く染め、夕闇と共に獣たちの気配が迫る。そして朝焼け。台風の襲来とともに猛烈な豪雨が、、、といった移ろいを速回しで見ているようです。そして、いよいよリゾートを去る日、紺碧の青空の下、山は初めてその全容を見せる。やがて旅人が去って、残されたのは木々のざわめきだけ。なーんて、Tubular Bells IIIのパクリみたいですが、何度も繰り返し聴いていると、このように思えました。サウンドの要はサイモン・フィリップスの力強いドラミングです。また、Courtney PineのファンキーなSAXも聴き所。



ブックレット
背表紙

サンプル画像は従来版から。 HDCDは、相変わらず「汚れたフィルターを装着してスキャンした」ような画質です。 フラクタルに色を塗ったりとか、Rina Cheungって頭悪いのでは?と思えてしまう。

蛇足ながら、当時の 日本盤のキャッチコピーを。 「盟友サイモン・フィリップスと新たにバンドを結成、そしてヴォーカリスト(!)として熱唱するマイケル・オールドフィールドの意欲作。ファンタスティックな無限のサウンドが広がる。」


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