Mike Oldfield / Return To Ommadawn (2017/01/20)

『待ちに待った長編インスト・原点回帰、再び』

タイトルから推測されるとおり、マルチトラック・レコーディングを駆使した長編インストゥルメンタル作品。 「原点回帰、再び」としたのは、かつてのEatrh Moving→Amarokへの展開に似ていることを現したつもりである。 もちろん当時とは時代背景が異なるのは、重々承知しているが。

期待と不安に胸を膨らませて聴いてみれば、「あれっ?」という感じで通り抜けてしまう。 それが第一印象。 あまりOmmadawnには似ていない。 マルチトラックとはいえ音数は少なめで室内楽的。 ギター×3、ベース、キーボード、パーカッション×2、笛くらいの編成で演奏出来そうである。 バッキングボーカルも外せないが、出番は少ない。

Mike Oldfieldは魅力的なメロディメーカーだが、本作ではMoolight ShadowやSailingのような派手さは控えめ。 しかも、かつてのような高揚感に達する寸前で、あっさり終わる。 でも、騙されたと思って5〜6回くらい連続再生してみてほしい。

[第1部]
冒頭は、まるでHergest Ridgeで面食らう(あるいはSanctuaryシリーズの新作か?と思ったほど)。 でもよく聴いてみると、Ommadawn主題の変奏曲であることが判る(Hergest Ridge風のOmmadawn, おっとネタばれ失礼)。 引き続いてアコースティックギターによる主題だが、tr3s lunasやLight + Shadeの頃の雰囲気。 掴みどころの無いメロディで、1回聴いただけでは全貌が見えないが、慣れれば、とても奥ゆかしい旋律が癖になってくる。 加えて、尺八っぽいリコーダーがアクセントになっている。 かつてのTubular Bells ll程あからさまではないが、Ommadawn Part1の展開が取り入れられている。 すなわち、お決まりのドラム部隊が登場。唐突な登場はAmarokを思わせるかも。 アフリカンな太鼓というよりインディアンのアパッチ太鼓(ただし北欧のイメージ)。 かき鳴らされるアコギとマイキーなエレクトリックギターとコーラス隊とでクライマックスを迎える。

[第2部]
後半はズバリ珠玉の傑作なので、じっくり味わって聴いてほしい。 一部にThe Wind ChimesやWhen The Night's On Fire(またはThe Top Of The Morning)っぽいフレーズが聴かれるものの、 叙情的でひねりの効いたメロディが秀逸。 オリジナルOmmadawnからの引用であっても、全く別の曲に聴こえるようにリメイクされており、マジックのように楽しめる。 最終パートではある仕掛けがあるものの、ネタばれは控えておく(この仕掛けは要らなかったかもしれないが)。

さすがに最新録音ということもあり、各パートの詳細が聴き取れる高音質。 アコースティックギターの弦をパッチンパッチン弾きまくっているのが強調されているかも。 音量は小さめだが、適切なダイナミックレンジが取られてることを意味するので、良い傾向である。 高速道を飛ばしながらカーステレオで聴いても、意外に映えることが分かった。

ジャケット画像(ファンタジーRPGのようなノリ)は恐ろしく冷涼で終末感が漂うが(色使いはCamel / The Snow Gooseの再録版に近い)、 出てくるサウンドは緑豊かと思っていい。 さんざん好き勝手に書いてしまったが、このような作品を聴くことができて、たいへん嬉しく思う。

  1. Return To Ommadawn Part1 21:11
  2. Return To Ommadawn Part2 20:57


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