Klaus Schulze
Silver Edition (1993)

10 discs : 05 10 review bottom


disc 1
74.47
  1. Die Lieder des Prinzen Vogelfrei, Studio 1993 28:26
  2. Le Medaillon Magique, Studio 1993 15:51
  3. Schwermutiger Fruhling, Studio 1993 19:59
  4. Der Optimismus, Studio 1993 10:39
disc 2
71.02
  1. Narren des Schicksals: Satz (con moto), Studio 1992/93 20:22
  2. Satz (grave), Studio 1992/93 22:55
  3. Satz (ma con brio), Studio 1992/93 27:37
disc 3
74.11
  1. Nostalgic Echo, Concert 1976 34:08
  2. Titanische Tage, Concert 1976 27:12
  3. Die lebendige Spur, Concert 1975 12:44
disc 4
78.05
  1. Der Schonheit Spur, Studio 1993 37:36
  2. Ein schones Autodafe, Studio 1993 21:24
  3. Return In Happy Plight, Studio 1993 19:08
disc 5
  1. Picasso geht spazieren - First Movement, Studio 1992 78:38
disc 6
75.42
  1. Picasso geht spazieren - Second Movement, Studio 1992 15:33
  2. Picasso geht spazieren - Third Movement, Studio 1992 60:12
disc 7
  1. The Music Box, Studio 1993 79:13
disc 8
  1. Machine de Plaisir, Studio 1993 78:26
disc 9
74.31
  1. La Presence d'Esprit, Concert 1975 17:32
  2. Arthur Stanley Jefferson, Studio 1993 56:55
disc 10
72.57
  1. La Vie Secrete, Concert 1975 62:20
  2. Landpartie, Studio 1972 10:47

1992年から1993年の作品を中心に、1975年前後の未発表音源をカップリングした10枚組みセット。 disc 3, disc 9 track 1, disc 10に、'70年代の音源が収録されている。 このコーナーは、ざっと聴いた印象メモに留めますので、ご了承ください。

このセットは、後の50枚組みUltimate Editionのdisc1〜disc10としてリイシューされている。 Silver Edition に限らず、本シリーズにはフェイドイン始まり・フェイドアウト終了のトラックも多い。 収録時間切れに伴うカットの可能性もあるが、 実際のコンサートでフェイドアウト終了する例(フェイドアウト後、拍手が入る)もあり、 ケースバイケースのようである。 さしあたって、この種のトラックについてはレポートを挙げておいた。

Ultimate Editionは、2009年2月から"La Vie Electronique"シリーズとして、3枚単位で順次リリースされる。 中途カットされているトラックがあるなら、 今回のリイシューで、ロングバージョンで聴けることを期待したい。

disc 1)
#1-1はオーケストレーションを前面に出した作品で、 Ludwig II. von Bayern("X"収録)を髣髴させる場面もある。 途中で、冨田勲のサンプル(バミューダトライアングル)が現れる。 サウンドはクールでクリア。 フェアライト系の音が多いのは、やはり時代ならでは。 #1-2から#1-4にかけてもクラシック寄りの手法が取られる。 どのトラックも佳曲だが、オペラ声サンプルのピッチを変えまくる演奏は陳腐化したなぁ(特に#1-3)。 十八番の「激走するビートに、太っといシュルツェ節」は控えめ。 エレガントな作品である。最後は時間をかけてフェイドアウト。

disc 2)
#2-1もエレガントなクラシック風作品。 途中で、やや大げさなブラスやオーケストラヒットもあって、変化をつける。 回数は少なめながら、「オペラ声サンプル」も出てきちゃいますが。 一方、#2-2では大量に出まくる。後半、抑制の効いたアンサンブルが逸品。 #2-3は、ずばり名作。 クラシカルなミニマル系で、音数は抑えつつ、高い緊張感を維持している。 「オペラ声サンプル」も有るが、ここでは自然な発声になっている。

disc 3)
disc3は1975年から1976年のコンサート録音。 #3-1はエレキギターが鳴くようなリフレインに導かれ、 輝くようなシーケンスが入ってくる。 基本的にドラムやパーカッション無しでクライマックスを形成する。 終盤の壊れかけたシーケンスもまた圧巻である。 #3-2も同じ傾向で、ノンビートのシーケンスが活躍する。 静かながら緊張感ある後半が、特に素晴らしい。 とても良いライブだなぁ、というのが率直な感想。 #3-3はトラックに不具合あるかもしれず、コメントを保留する。

disc 4)
再び1993年作品。 #4-1は疾走感のある佳作。 disc2まではクラシカルだったが、本作はトランス・ビート+インプロビゼーション系である。 音数を極限までそぎ落とした感じで、重低音ベースやパーカッションもクリアで心地よい。 また、20分ころから現れるシーケンスも絶品。 ただ、終盤の高揚感に欠ける気もする。 #4-2は冒頭からアヴァンギャルド・オーケストラが炸裂する。 クラシック寄りの作品だが、明るく情熱的である。 #4-3は、1曲目の続編みたいな感じで、内省的。

disc 5)
Picasso Geht Spazierenと題する第1章。 パーカッションや効果音が調子はずれで、急に大きな音がすることも度々ある。 終盤はダラダラ続いている感じで、正直なところ、それほど良くないと感じた。

disc 6)
Picasso Geht Spazierenの後半。 エレピによるクラシカルなフレーズを中心に展開する。 3楽章は起伏や変化に富んでおり、多少の取り留めなさはあるが、それなりに楽しめた。

disc 7)
アコースティックピアノとエレクトリックピアノの掛け合いで始まる#7-1は、 このセットで最も美しいトラックである。 ドラム系のビートは無しで、シーケンスとシュルツェ節が、スピード感を持続する。 さすがに79分は長いかもしれないが、まだまだ曲は続きながら、ゆっくりとフェイドアウトしていく。

disc 8)
#7-1のエンディングが、そのままフェイドインするように始まるが、 若干ミックスが異なるので、別録音かもしれない。 20分ほどシーケンスとシュルツェ節だが、暗転。 ストリング・シンセが鬱々とリフレインし、行進曲のような太鼓が鳴り響く。 ちょうどBabelの後半に似ているが、派手なエフェクト類は無い。 最終的にはフェイドアウト。まだまだ続きはある??

disc 9)
#9-1は1975年ライブ。 あの名作Bayreuth Return (Timewind)を連想させるシーケンスが終始流れる。 急に迫り来るようなエンディングも格好良い。 #9-2は導入部こそ退屈っぽいが、奇数拍子系のシンセベース・シーケンスが入ると、 徐々にトランス状態へ。後半に向かうと尻上がりに調子を上げて、 終盤の絶品シーケンスから突然のエンディングまで息を抜けない。

disc 10)
#10-1は1時間あまりのライブ。 刺激的な音やビートを一切使用せず、そのクリアなサウンドは神聖ですらある。 これも屈指の名演だ。 #10-2は、壮大なオルガンソロ。 Satz Ebene(irrlicht)におけるアイディアの原点である。 エフェクトが掛かっていない分、生々しくて迫力あり。

まとめ)
クラシカルテイストかつ繊細な美しさを持つ1990年代初期作品。 奇想天外かつアンビエントな展開もあり、軽快なトランスビートは夢見心地にいざなう。 多少の間延び感は有るかもしれない。 一方、70年代の音源は選りすぐられた傑作である。 長大なシーケンスによるクールなトランス音楽。 ライブトラックはシュルツェサウンドの真髄を堪能できる。 同時期のアルバムよりも、よりアンビエント・テクノらしさを感じるのは思い込みだろうか? 続くHistoric Editionも70年代音源が中心で、必聴だ。


<−前へ.. [先頭] ..次へ−>

EXIT