Klaus Schulze
Historic Edition (1995)

10 discs - total time : 71.15 + 76.08 + 78.27 + 75.20 + 71.30 + 70.47 + 77.17 + 78.31 + 75.27 + 74.41 review bottom


disc 1
  1. From And To, Concert 1981 20:40
  2. Zeit Geist, Concert 1977 50:29
disc 2
  1. Inside The Harlequin, Concert 1977 12:19
  2. I Sing The Body Electric, Concert 1976 49:11
  3. Das Herz von Gronland, Concert 1976 14:18
disc 3
  1. Alles ist gut, Concert 1975 36:40
  2. Well Roared, Lion! Concert 1975 09:22
  3. Der Blaue Glauben, Concert 1975 32:16
disc 4
  1. Electric Love-Affair, Studio 1974 10:47
  2. Tempus Fugit, Studio about 1970 26:21
  3. The Future, Studio 1978 28:18
  4. Gewitter, Soundtrack 1978 09:22
disc 5
  1. And Now For Something Completely Different, Concert 1981 00:37
  2. Leiden mit Manu, Concert 1981 38:28
  3. Zeichen meines Lebens, Concert 1975 32:08
disc 6
  1. Andromeda Strain, Concert 1976 41:44
  2. Make Room, Make Room, Concert 1976 28:55
disc 7
  1. Dynamo, Studio 1973 14:19
  2. My Virtual Principles, Studio 1982 62:49
disc 8
  1. The Poet, Concert 1976 52:49
  2. Fourneau Cosmique, Concert 1975 25:35
disc 9
  1. Schwanensee II, Studio 1976 21:01
  2. Havlandet, Soundtrack 1985 27:22
  3. Schwanensee I, Studio 1976 26:48
disc 10
  1. Traumraum Studio, 1973 31:32
  2. The Real McCoy Studio, about 1970 12:50
  3. Der Lauf der Dinge Studio, 1975 20:45
  4. Memento Mori Studio, 1974 09:08

1970年から1985年の作品を集めた10枚組みセット。 初期作品中心であることから、Historic Editionと名づけられている。 このセットは、後の50枚組みUltimate Editionのdisc11〜disc20としてリイシューされている。 このコーナーは、ざっと聴いた印象メモに留めますので、ご了承ください。

disc 1)
#1-1は冒頭から、アンコールらしい拍手が4分あまりも続く。 途中で"OLE.. OLE.. "など合唱してるし、曲が始まるのは5分を大きく経過してから。 1981年録音ということで、Trancefer-Audentityの頃に近い良曲ながら、 オーディエンス録音のような音質で残念。 #1-2では音質改善。 2部構成の長編で、前半はグロスコフのドラムスあり。 前半のクライマックスはNo Where Now Here後半(Body Love 2)に匹敵する。 ドラムスの音質は、スタジオトラック同様に、高域シフトしたものになっている。 後半は冷徹なアンビエント。 2曲ともに完奏終了。

disc 2)
このディスクはノンビート・トラックのみで構成される。 基本的にはBody Loveの頃のサウンドだが、Velvet Voyage(Mirage)やMindphaser前半(Moondawn)を思わせるシーンもある。 そのなかでも、#2-2後半のシーケンスはTotem(Picuture Music)のような手法が取られており、際立っていると思う。 全般にレゾナンスが効いており、ややサイケデリック。 各トラック、ゆっくりしたフェイドアウトで終わるが、続きはあるのだろうか?

disc 3)
#3-1はBayreuth Return (Timewind)の派生トラック。 ライブ向けに緩めのアレンジになっているが、味わいがあって良い。 ラスト急展開する部分は、シーケンスが暴走するような挙動で、暗転して終わる。 #3-2は、やや奇想天外(前半は暴走シーケンス、後半は暗転ドローン)だが、やはりTimewindの頃のサウンドである。 #3-3は地味ながら、序盤のエレピ?(ちょうどPink Floyd / Echoesを思わせる)、シーケンサ無しグロスコフのドラム、終盤のシンプルなシーケンスが聴き所。 このディスクは全トラック拍手で終了。

disc 4)
#4-1は実験的なドローン系。ハム音のようなベースとオルガンによるリフレイン、叙情的ながら硬質なサウンド。 #4-2は、壮大なオルガンソロ。Satz Ebene(irrlicht)制作の過程。 #4-3もドローン系。当時のシュルツェらしくなく、メロディの起伏のない作品で、タイトルどおり近未来的でさえもある。 #4-4はアップテンポなシーケンスとビートあり。Stardancer(Body Love)っぽいシーンもあるが、クールにまとまっている。

disc 5)
#5-1は一瞬で終わる謎のトラック。 短い演説が入って、何らかのフレーズが流れてフェイドアウトする。 #5-2は1980年代初期録音ということもあり、Audentityの頃のスタイルに近い。 良い曲だが、オーディエンス録音のような音質なのが残念。 #5-3はBayreuth Return (Timewind)の派生ライブ音源。 寒色系のシンセとシーケンスが絶品。 収録時間切れではないはずだが、フェイドアウトで終わっている。

disc 6)
#6-1, #6-2ともにTimewindからMoondawnの頃の、寒色系の美しいトラック。 煌めくようなシーケンスやドローンが見事で、ビートは無い。 収録時間切れではないはずだが、2曲ともフェイドアウトで終わっている。

disc 7)
#7-1はオルガンとドラムス(大幅に抑え気味)との共演。 アップテンポで緊張感も高い。エレキベースも使われているようで、包み込むような低音が心地よい。 #7-2は長尺のスタジオ録音。冒頭のストリング系シンセが叙情的。 しかしその後は現代音楽寄りの断続的なアンビエントとなり、取り留めなく続いていく。 リズムトラックを加えて山場を構成するのは、後半から。 やや調子外れなパーカッションと対位法的なソロが入るが、音数少なくクールな仕上がりだ。 フェイドアウト終了。

disc 8)
#8-1は、Velvet Voyage (Mirage), Floting / Mindphaser (Moondawn) を合わせたような導入部。 たっぷりと時間をかけて、シーケンス開始。 前半はオーソドックスに美しく、後半はBPMを下げたり上げたり、 レゾナンスとノイズで遊んだり、静寂シーケンスを残したりなど、バリエーションもたっぷり。 最後は重低音の緩衝楽章になる。 #8-1は、導入部->ワンコードシーケンス->シンセパーカッション連打->緩衝楽章->Totem (Picture Music)->電子ノイズのエンディングへと展開するトラック。楽しく聴ける名演だ。 2曲とも拍手は無いが、完奏終了か?

disc 9)
#9-1はノンビート&ノンシーケンスのドローン系。神聖かつ美しいトラック。 #9-2はサウンドトラックとのことで、断片的な曲の寄せ集めである。 ノンビート&ノンシーケンスで、重苦しい感じの曲が多い。 12:15頃に現れる曲が良いのだが、すぐに終わる。 #9-3は、#9-1のPart1に相当するが、こちらは躍動的なシーケンスが入ってくる。 躍動的とはいえ、ノンビートの美しいアンビエントトラックになっている。

disc 10)
#10-1はCyborgの頃のアウトテイクらしく、非常にサイケデリックである。 序盤は重厚なオルガンだが、ギターを擦るような漂うエフェクトサウンド、脈打つような電子リズムなど、特に異彩を放っている。基本的には静謐なアンビエントだが、ゆがむようなサウンドが圧巻。 #10-2はオルガンによるドローン。シンセは使われていないようで、声やパーカッションを加工したサウンドエフェクトが使われている。初期のソロ作品ながら、後半の盛り上げはシュルツェらしさがよく現れている。 #10-3は完全ワンリフ・シーケンスだけで構成された作品。まさに真髄、素晴らしい。 #10-4はサイケデリックなドローン系。音程感の無いリフレインがリズムを刻んでいる。 2曲目と4曲目は続きがある気配あり。

まとめ)
コンサート音源を中心に、70年代名作アルバムの断片を聴くことができる。 完成されたアルバムに比べて音数は少ないが、シュルツェの生の魅力がたっぷり詰まっている。 当時のアルバムはロック色の強い、どちらかというと緊張感を高めるような作品が多かった。 全般にハードな仕上がりだったが、Historic Editionほかで聴こえるサウンドは、あくまでもゆったりと漂うようだ。 音数も少なく粗削りだが、クリアな音色のアナログシンセが実に心地よく、至高のアンビエントかもしれない。 ズバリ1990年代以降のアンビエントテクノを思わせる。 全編を通じて、いわゆるシュルツェ節(太っといシンセ・ソロ)の出番は少なく、シーケンスやドローンだけが鳴ってるシーンも多い。 一部音質の良くないトラックやマスターの傷みはあるものの、サウンドクオリティはとても高い。


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