姫神
[末尾]


シード (1999/10/06)

南太平洋までベクトルを向けた前作「縄文海流」に比べると、本作は古代の東北を意識したもので、やや実験的な、尖った作風である。前作までの「縄文」コンセプトを引き継いでいるが、イージーリスニングっぽさは控え目で、広義のプログレとして聴けなくもない。収録曲「風のこころ」は歌もの姫神では、屈指の名演なので、要チェック!

[Track List]

Pony Canyon
PCCA-01373

Track List : 47.45
  1. 序 1.58
  2. 風のこころ 6.15
  3. 草原の舞 4.30
  4. 相聞歌 5.16
  5. 森の雫 4.29
  6. 蒼い黄昏 3.28
  7. 雲はてしなく VOICE MIX 5.17
  8. タマト パラ 5.12
  9. 空の海 7.06
  10. 転唱 4.09
[Listening Report]
Guest Musicians
金延幸子&サカヴェ : Voice
ブヘナサン : 馬頭琴
オットフォン・バイラ : Voice
弦楽工房[友] : Strings
菅原裕紀 : Percussion
河野充生 : E. Bass
藤里明久 : 般若心経
姫神ヴォイス : 志和純子、中島和子、藤井智子、大村梨花、佐野より子

縄文語指導 : 崎山理

#1は題名通りで、いわば#2のイントロみたいな小曲。ラストのパーカッションもどきから、何かの曲を連想したのだが、失念したので、思い出せればアップします。#2は、縄文語によるラヴ・ソング。初期の姫神を思わせる風の擬音でスタートするこの曲は、表情豊かな女声ボーカルで歌い上げられ、エニグマ調のグラウンドビートに乗ってクライマックスを迎える。歌唱力は相当なもので、歌い手のクレジットは無く、おそらく姫神ヴォイスの誰か、と思われる。歌詞の現代語訳はオフィシャルサイトに掲載されているが、次のように歌い替えてみると分かりやすいだろう。「夜、真白き、星、天に、照らり....」実際のところ縄文時代に、このような言語が使われたのか推測の域を出ないが、シンプルでストレートな言葉に、現代人が失ってしまったかもしれない情操や自然空間に対する感覚のようなものを、ふと考えてしまうのだ。タイトル「風のこころ」も言い得て妙。付け加えて、このアルバムに本トラックの類似作は一切無い、というのも心憎い。
#3と#4はファンク色のあるダンストラック。うねるようなシンセ・ベースが目立っている。特に#4はファンキーな男性ソロ・ボーカル・パフォーマンスや、祭り囃子が出てきたりと楽しいが、どうせなら、#3と#4を1曲にしてしまった方が、プログレ・ファンとしては嬉しかったかも。#5は、本アルバムで唯一、従来の姫神的な、レゲエ調インスト。#6はアンビエントなインスト。#7はアルバム「ZIPANGU姫神」ラストナンバーのリメイクで、縄文語コーラス入りのクールなダンストラックに仕上がっている。中間部に起伏あり、聴き応えも十分。
#8は、アルバムの山場。姫神にしては、アップテンポで扇情的なダンストラック。もちろん縄文語のコーラス入りで、不思議なメロディ・ラインを持っている。どなたかDJでプレイした方、いらっしゃるのかな??#9は古の儀式のような、一風変わった曲。祝詞のような歌、エスニックなパーカッション(太鼓)、中間部には姫神ヴォイスによるアカペラも挿入される。#10はズバリ般若心経に曲を乗せたもの。読経が無ければ、割にイージーリスニングかも知れない。

表紙のイラストを見て、YESのClose To The Edge(危機)の見開きイラストを連想された方も、少なくないだろう。


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