Night On Bald Mountain (1975)

Fireballet
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(Setticlavio SET 1007/A CD)

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作品紹介

Fireballet(ファイヤーバレー)はイタリア系と思われるミュージシャン5人組みによるプログレッシブ・ロック・グループで、結成当時は「Fireball Kids」と名乗りライブ活動をしていたそうである。しかし、グループ名から受ける印象(やっぱりハードロック系だよね)と、プログレッシブ・サウンドとのミスマッチが甚だしく、必ずしも好評ではなかった。この問題はメンバーも認識しており、名称を「Fireballet」に変更するか否か、意見が分かれていたようだ。このような状況下で制作されたファーストアルバムがこの「Night On Bald Mountain(はげ山の一夜)」である。プロデュースは、あのイアン・マクドナルド。そう、プログレファンなら誰もが知ってる、元キング・クリムゾンのイアン・マクドナルドであり、彼自身も要所要所でサックスやフルートをプレイしているのだ。アルバムはアメリカのPassportレーベルからリリースされ、Fireballetは「アメリカのプログレッシブ・ロック・グループ」として分類されている。日本盤のアナログは、日本フォノグラムからリリースされた。なお、アルバムの名義は、メンバーの意志に関わらず「Fireballet」になっていたことも付け加えておく。

サウンドは典型的なシンフォニック系プログレで、あまりイタリアっぽさは感じられない。イアン・マクドナルドからの影響もあるのか、全般にタイトだ。さらに、クリムゾン、EL&P、イエス、ジェネシスのエッセンスを巧みに盛り込んだ名演に、プログレファンならば狂喜するだろう。タイトルの「Night On Bald Mountain(はげ山の一夜)」は、ムソルグスキーのクラシック曲で、もちろんカバーバージョンで収録されている。その他にもクラシックその他からの引用が随所で聴かれるが、曲目紹介のコーナーにて後述する。

このCDについて

このCDについては、あまりにむごい現実を、まずお断りしておかなければなるまい。そう、アナログ起こし。私はこのCDを10年以上前から捜し求めていたが、やっとの思いで入手できた喜びは一瞬にして打ち砕かれた。いちおう「Under Licence Passport Records Berlin Germany」とクレジットされてはいるが、リリース元はイタリアの「Setticlavio」というレーベル。しかも、アルバム・タイトルが「Night IN Bald Mountain」と、思いっきり間違っている始末。ただ、メンバーがイタリア系ということもあって「イタリアン・ブートレグ」に対する警戒を解いてしまい、購入前に危険を察知できなかったのである。後日、購入店であるガーデンシェッド(Garden Shed)に問い合わせを入れてみた。アナログ起こしである、という事実は把握していたようだが、「このCDはブートレグか、それともマスターの保管に問題があり、やむなくアナログ起こしで制作された正規盤か?」との質問に対しては、「わかりません」と一蹴されてしまった。個人的には商品のクオリティから、ブート説を信じたい。たかみ・ひろし様、何とかしてください、お願いします。

オリジナルの「Night On Bald Mountain」は5曲入りだが、このCDには7曲のボーナストラックが収録されている。これらは、Fireballetのセカンド・アルバムからのテイクだそうだ。セカンドアルバムが出ていたなんて、このCDで初めて知った。なおこの件についてはアルバム・タイトルを含めてクレジットが一切無く、詳細不明である。音を聴く限りでは、オーケストラを起用して、明るいサウンドに変化した。相対的にヴォーカル・コーラス・パートが増えているが、変拍子を多用した複雑な曲構成は健在といえる。いかにもイタリアンロックらしい、レベルの高い作品だ。PFMあたりと比べても、勝るとも劣らない出来である。いうまでもなくアナログ起こし。トラック9と12では音が乱れ、とても聴けたものではない。これについても販売店に確認したが、マスターに起因するもので、どうにもならないとのこと。やはり正規盤とは思えない。

Jim Como:lead vocals,drums,timpani,xylophone,glockenspiel,Chineese bell tree,gong,finger cymbals,tubular bells,triangle
Bryan Howe:Hammond organ,pipe organ,celeste,vocals
Ryche Chlanda:electric guitars,acoustic guitars,electronic devices,vocals
Frak Petto:Piano,electric piano,ARP 2600 synthesizer,Mellotron,electronic strings,Oberheim DS-2 digital sequencer,vocals
Martyn Biling:bass,12-string guitar,bass pedals,Moog Taurus pedals
Ian Mcdonald plays alt sax on track 1 and 5, and flute on track 4 and 5

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収録曲目

Track Time Title
1 10:10 Les Cathedrales
2 4:42 Centurion
3 5:13 The Fireballet
4 3:37 Atmospheres
5 18:38 Night On Bald Mountain
6 4:29 Great Expectation
7 6:37 Chinatown Boulevards
8 6:11 It's About Time
9 2:46 Desire
10 4:04 Flash
11 5:54 Carrolon
12 4:50 Montagne En Fili
Total 77:11

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曲目紹介

Les Cathedrales(大聖堂)
シンフォニック系プログレの王道を行くような、起伏緩急に富んだ展開を堪能できる。高らかな主題と、もったいぶったような導入部に続いて「Theme One」のメロディがそのまま出てきて、ボーカルパートに。初期のジェネシスを連想させるような、独特の声質で、これもまた魅力的だ。歌詞の内容は、バイキングに関連するものらしい。中間部では「亜麻色の髪の少女」やその他(未確認)の曲を挟んで、ドラマティックなクライマックスに向かう。まさにプログレ冥利に尽きるトラック。
Centurion(百卒長)
短編ながら密度の高い曲で、ボーカル部分のリフも印象的ながら、おくまでインスト主体である。終盤、「アクアタルカス」のようなフレーズに続いて「聖地エルサレム」のエンディングで決める。CDではクレジットされていないが、この曲にはサブタイトルがあり「ファイヤーボール・キッズ物語」。
The Fireballet(火のバレエ)
これはまた見事なイエスのパクリである。序盤、「The fish」のメロディが2コーラス入るが、ボーカル・コーラスは、まさにイエスそのもの。以降も脈絡のないような展開が続き、途中で「古代文明」を思わせるギターも聞けるが、圧巻はエンディングパート。グランドピアノの印象的なフレーズに乗って、壮大なオーケストレイションとなり、感動的である。
Atmospheres(雰囲気/空気)
「サパーズ・レディ」の序盤に近い雰囲気の、叙情的なナンバー。間奏部分、イアンマクドナルドのフルートがあまりに美しく、涙をそそる。。。はずだったが、良い所で音がビリついてシラケてしまう。
Night On Bald Mountain(はげ山の一夜)
このアルバム最大の聴き所は、やはりコレでしょう。18分の大作組曲。クラシック曲の「はげ山の一夜」はトラックの最初と最後の部分で採用され、中間部は「Night tale(夜話)」というオリジナル曲と、ドビュッシーの「沈める寺院」で構成されている。元曲に忠実にアレンジされた「はげ山の一夜」で幕を開け、印象的なギターのリフに続いて「夜話」。なんと「レターズ」のイントロがそのまま使われている。短い歌が加わるが、メロディは「レターズ」とは別物。以降、起伏のある、緊張感みなぎるインストが続く。ややクリムゾンっぽいが叙情的である。暗転し「沈める寺院」。キーボード群とパーカッションを総動員した、壮大な演奏だ。そして「夜話」、「はげ山の一夜」の最終部分へと続き、この組曲は厳かに幕を閉じる。
Great Expectation(大きな期待)
ここからがセカンド・アルバム。いきなりヴォーカル・パートでスタートし、賑やかな曲である。以降も似たような雰囲気の曲が続く。確かに前作ほど、曲ごとの特徴というものが明確ではない。見方を変えれば、これが本来のFireballetの音楽性なのかもしれない。
It's About Time
エンディングは「第九」のカバーで締めます。
Montagne En Fili
ラストナンバーは叙情的なコーラスを含むノンビートのインストだが、針音がチリチリと耳につく上に音が乱れて台無しだ。

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音質評価

アナログ起こしではあるが、ヘッドフォンで聴けば針音が聞こえる程度である。少なくとも、ピアニッシモで針音が定期的にプッチン、プッチン鳴るとか、定常的にジリジリバリバリ鳴り続けるような最悪な状態ではない。ただ、アナログ起こし特有の音のざらつきも、場所によっては気になってしまう。先に述べたとおり、トラック9と12は音の乱れがあって不可。オリジナルマスターから高品位マスタリングで起こせば、かなりの高音質が期待できるのではなかろうか。

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ジャケットについて

美しいデザインは、Tony J. Walderによる。蛇足ながら、ロールプレイングゲームの1シーンみたいだ。ジャケット画像をクリックすると、拡大図を見ることが出来ます。表紙に関しては、非常に丁寧に作られている。裏表紙はオリジナルに近いものだが、若干手が加えられている。アルバム・タイトルのミスプリントが確認できる。また、演奏時間表示の誤差も大きい。CD盤はピクチャーCDである。
なお、セカンド・アルバムのアートワークは、一切掲載されていない。

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Night On Bald Mountain
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