Far East Family Band
[末尾]


地球空洞説 "The Cave" down to the Earth (1975)

Far East ファミリー Band(日本語では、こう書くのが正しいらしい)名義での第1作目。 当時の大げさなキャッチコピーが活かす。 「静寂にして甘美なコズミックな時の世界を創る6人の魂!!全世界を震撼させた東洋の感性。 ついに21世紀の道は開かれたり。11台のキーボードが織り成す無限の世界!見よ、この快挙!日本人初の世界同時発売!」 世界同時発売の意味するところは未検証。

日本コロムビア CD-7139-M - total time : 53.35


  1. 未知の大陸 2:53
  2. 時代から 4:33
  3. 水神 1:52
  4. 心山河 8:21
  5. 風神 2:20
  6. 煙神国 1:39
  7. 和・倭 0:48
  8. 北の彼方の神秘 5:55
  9. 地球空洞説 8:18
  10. 喜怒哀楽 5:54
  11. 蘇生 11:02

宮下 文夫 : Vo,G
深草 彰 : B
高崎 静夫 : Dr
伊藤 明 : Key
高橋 正明 : Key
福島 博人 : G
Joe : Flute, Sax, Backing Vo

1991年頃に日本コロムビアとドイツTRCレーベルからCD化されたが、長らく入手困難になっていた。 その後、日本コロムビアからオンデマンド(注文生産)CD-Rで販売され、2009年12月に紙ジャケットで再発された。 本レビューはTRC版に基づく点、了承ください。

ほぼ全編ノンストップのトータル・コンセプト・アルバム。 次回作「多元宇宙への旅」リリース時、リアルタイムから少し遅れての体験だった。 当時は、日本のフォーク的なメロディラインとコズミック・シンセ群との融合が、 とても鮮烈な印象だったと記憶している。

今聴いてみると、作詞・作曲・演奏ともに「辺境グループ」的な垢抜けなさが目立ってしまうが、 思い切ってシンセサイザを大量導入し、日本神話的コスチュームで売り出した結果、 海外を中心に高い評価を得たのではないかと思っている。 泣きギターやドラミングなどのエレメントは Pink Floyd を強く連想させられるが、 ある意味「垢抜けなさ」を含めて、「これまで、有りそうで無かった」独創的な音楽であることに違いはない。

音質面は、丁寧なミックスがなされており、好感が持てる。 とかくシンセサイザ群やデイブ・ギルモア風ギターが話題になりがちだが、 本来の聴き所は安定したリズムセクションであると確信した。 暖かく重厚なベースが、とても気持ち良い。

未知の大陸 - 時代から)
荒涼としたアンビエント・シンセが、神秘的なリフレインを奏でる。 盛り上がりながら続いて始まる「時代から」は、素朴なボーカルとギルモア風の泣きギターが炸裂する代表曲。 電子音と共に飛び去っていく。

水神 - 心山河)
再び静寂。 繊細な電子音とアンビエント・ギターに導かれた始まる「心山河」は、ほとんど演歌。 寂寥感誘う笛の音。 でも間奏のギターはPink Floyd の Time を緩くしたもの、そのままですね。 次パートへのつなぎで、ちょいと音飛び?と思えるのが残念。

風神 - 煙神国 - 和・倭)
「風神」でのアップテンポなパーカッション・ソロは、次回作への伏線。 ミニマルなギター・リフレインに乗りながら「煙神国」。 彼らは「北に何かある」と主張するが、空洞を指すのは容易に想像できる(緩いコンセプトではある)。 「和・倭」は、前曲のフレーズを「うわっ、うわっ、わわーわぅわっ」というだけの曲。

北の彼方の神秘)
前半を締めるドラマチックなナンバー。 ストリングス隊も登場する。 ここでも「北の何とか」と歌われ、Side B へと続く。

地球空洞説)
雅楽のような静寂のイントロを経てスタートする。 Far Out の「日本人」を思わせるトラックだが、 中間部にアップテンポでアグレッシブなクライマックスを有する。 扇情的な展開は本アルバムで唯一といってよく、聴き所になっている。 地球の空洞は結局「きっと、たどり着けるだろう」で片付けられ、心の内面へのトリップへと切り替わるのであった。

喜怒哀楽)
本アルバムで最も緩いトラック。歌詞も緩々で、ほどよいアンビエントになっている。 カオスな生録音群にかき消され、電話が鳴って、ドアがバタンと開いて、足音が、、、(ピンフロの口笛吹き、ですかね)

蘇生)
「世界は作り話だ」と主張しながらも、心に染み入る優しい長編バラード。 フロイドというよりフランスのPulsar / Pollen に近いか。 終盤の赤ん坊の泣き声に、思わずホロリとさせられる。 蘇生というより、Rebirth かも。

後に英語版ミックスの"Nipponjin"(喜怒哀楽と蘇生の替わりに、日本人の再レコーディングを収録)が発売された。 これは、いわばサイケデリック・ミックスで、わざと歪ませたようなエフェクトに、 特定パートの音が急に大きくなったりなど、聴けば聴くほどストレスが溜まってしまう。 どちらか一方を買う、というのであれば、この「地球空洞説」を選ぶべきである。



Jacket package front view
Jacket package back view



Jacket inner front view
Jacket inner back view

オリジナルジャケットは二重構造で、窓付きの外ジャケット(上段)、風景写真の内ジャケット(下段)で構成される。 窓から覗く水色ラベル"MU LAND"は、オリジナル・レーベルだ。


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